八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.178


【掲載:2020/09/14(月曜日)】

やいま千思万想(第178回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

「分断」という言葉に過敏反応を感じてしまいました

 「分断」という言葉が頭から離れません。あるラジオ番組で聞いた言葉でした。
アメリカ大統領選挙分析の報道の中です。辞書に「分断」とは〈まとまりあるものを断ち切って別れ別れにすること〉となっています。
要するに「別れている」との意味、私も単純にそのように理解していました。
ラジオではアメリカで取材をしている記者の報告で、その意見は私にとって衝撃に近い印象を放ちました。
それは次のようなものでした。「今のアメリカは二つの大きな対立陣営というだけでなく、それは一方が強く拒絶するような対立となっています。
以前は対立した者どうしであっても相手の意見は聞こうとしたし、徹底的に議論をしようではないかという姿勢でした。
しかし現在、一方は『聞く耳持たぬ』といった強行で独断に満ちたものになっている。
これは今までにない〈理解し合おう〉というものでなく、決裂を意味することで先が見えてこない憂慮すべき状態、いや、危険な状態となっている」。

 他の意見を聞かない!主張を強行しようとするだけ!これは正に〈そういうことだったのか!〉と頭に刻まれた強烈なというか、衝撃の「分断」、納得です。
他の意見は聴くもの、何が正しいか、多くの意見を採り入れてこそより良い思考を生み出し、解決策を見出す。
それが民主主義だ、そう考えていた私でしたが〈他の意見を聞かない、聞けない〉〈議論できない〉人たちが多くなった!そして持論を強要してくる!言葉や暴力で襲い始める。
これは〈問答無用〉の世界です。

 アメリカの報告が現在の日本の状況と重なって見えます。
我が国の総理大臣が代わるそうです。
永く続いた政権での印象はどう見たって「分断」としか考えられない問題が噴出していました。
「新型コロナウィルス」が登場して状況が一変してしまいましたが、
噴出した問題は『コロナ禍』の混乱が続く現在でも何も解決してはおらず、その問題性は何一つとして変わってはいません。
モヤモヤ感が生活の奥底でくすぶり続けています。
予想される新しい政権もまだまだ霧の中、多くの人たちの疑心暗鬼が濃く立ちこめているように私には感じられます。

 人間社会って複雑で厄介なものです。意見が対立するのは致し方ありません。いや、それは健全であるとも言えます。
しかし、「問答無用」はなりません。一方的で説明なく、議論なく強行されることは対立するどちらに対しても有ってはなりません。
押し流されるのでなく、流れを掴む、しっかりと状況判断して流れを見る、ということが必要です。
チラッと見たテレビでの街頭インタビューで、
「総理大臣が辞められたのですか。知りませんでした。あまり(政治のこと)関心がないので・・・・・・」という信じられない若い女性の発言。
テレビですから編集もあったかもしれませんが、これにはショックでした。
大きな台風が襲いかかり、これまでにない勢力で各地に爪痕を残していきます。自然災害、人災。
今、世界中で試練が続いているのですね。

 



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