八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.194


【掲載:2021/06/03(木曜日)】

やいま千思万想(第194回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

格差・平等とは何か?「格差」の先にある大切なもの

   「平等」と言う言葉をよく使う人がいます。私も使います。
「平等が必要」とか「平等かどうかが問題」とか言ってしまいます。
言いながら「そうかな?」とも考えていますから無責任な言い放ちです。
何故こんな話から入ったかと言いますと、最近ワクチン接種が話題になる時、「平等」とか「不平等」という言葉を聴くからですね。

 優先すべきは誰なのか、予想に反する形でその順番が異なれば「不平等だ」と言います。
誰もが納得、異議無しであればそのような言葉は出ないと思うのですが、最近はよく聞かれます。
高齢者・疾患を持った人、医療従事者(医師が先か、看護師が先か、病院に勤めている方々か)、
若者、10代未満、など細かく考えてその順番を決めることになるのですが、そんな中で極めて不思議なことが起こっています。
「特権者」だと思われている人たちが何よりも優先されて受けてしまうことです。
まぁ、日本ではワクチンが出回っていない時期、お金と手づるがあれば海外からでもワクチンは届けられますし、
きわどい一線であるかもしれませんが合法的な形で受けてしまうこともできるらしいです。
いつの世にあっても「特権」を持ち出して誰よりも優先を望む人は居るものですね。

 正直、私は目くじらを立てることはしないのですが、世の中全体での「平等」となれば事情が違ってきます。
最近話題になっている〔LGBT法案見送り〕。
LGBTとは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、両性愛(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の各単語の頭文字を組み合わせた言葉です。
〔少数派の人権問題〕として考えれば「平等」という言葉は大切な様々な意味合いを持ちます。全ての人が一度は真剣に考えておくべきものだ、と私は思います。
悩み、苦しみ、生命さえ危ぶまれる悲惨な結果を産んでしまう「差別」とそれは深く関わるからですね。
「差別」の先には必ずや「貧困」という問題にも突き当たります。
人権が失われ(脅〔おびや〕かされ)、それが日常生活に及ぶことになれば「貧困」という重大な問題へと突き進みます。
その悲惨な様相は誰もが目を背けたくなるような事態です。誰も望んだりはしません。 人間は「欲」そのものを制御するにはまだまだ未熟なのかもしれません。
太古から人間の欲はそれほど変わってはいないように思います。「欲」があるからこそ現在への進歩もあったということですね。

 私は「欲」を無くすべき、だとは思いません。
しかし、「貧富の差を無くせ」ではなくその「差」を大きくするな!ということは声高に言えるし、出来る、とも思うのです。
「平等と差別」という問題とその課題。それは人間が取り組むべき最も大切な営みです。
この数年間、ずっとその重苦しさをもって生きてるように思います。
私は感じたいですね。
先ず身近に想像しましょうか。
苦しみ、悩み、絶望して明日をも持たぬ人たちのことを。

 



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