八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.197


【掲載:2021/08/06(木曜日)】

やいま千思万想(第197回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

これなくしては生活が成り立たない「トイレ考」

 最近面白い本を読みました。
本の主旨はジェンダー(作られた男らしさ・女らしさ)、マチズモ(マッチョとも。
男性優位主義)についてなのですが、他にも男でもなく女でもない方たちにも考察があります。
その中にトイレについての項があって気付かされる事もあって興味が湧きました。そして書いてみたくなりました。

 「トイレ」って語ることは少ないし。
憚(はばか)られることになっているようで、ましてやその行為は男女互いに見えるものではないので、私見を述べるのは困難。
しかし、研究している人はいるもので人間にとっては必須な事柄としてそれは研究対象になるんですね。絶対必要ですよね。
「男は座って小便をすべきか?」の問いかけに、「するべきだ!」との結論でその項は終わります。
資料によると和式の便器に代わって西洋式が増え始めたのはそう遠くない昔で歴史は浅い。
和・洋式それぞれ便利な理由があります。そして男性用には「立ち小便」用の便器も並びます。選択肢が多いです。

 何故、男が便座に座って用を足さないといけないのか。それは便器ばかりででなく、周りも汚(よご)すからです。
男は便器の前や横だけに降りかけているのでなく、想像する以上に尿は周りに飛び散らかされていることが実験によって解ったようなのです。
誰がそれを後で拭いて綺麗にするか。
男自身ならば少しは許されるかもしれませんが、
当然のように処理は女性とか清掃員(多分給料は少ないのではないかと想像します)がするものと多くの男たちは思っていて、汚れを気にしない。
それはダメでしょう、と思うわけです。
打ち明ければ、私も座るようになったのは最近のことです。

 私の世代は「立ってする」ことは当然でした。もし立つことを拒めば、「男たちから何を言われるか」そのような時代でした。
男の「偉そう」「身勝手」の一部を表しているようですね。「トイレ考」なかなか奥深いです。
国会のなかのトイレ事情も驚くものらしい。
世の中圧倒的に男性優位に作られているのですから国会も然り。
しかし、あってはならないものですね。
見本にならなければならないのですから(因みに最近の国会はどこをとっても子どもたちに見せられるようなものではありません)。
女性トイレは男性の一部を間借りしての増設。どうもプライバシーは保てない仕様のようです。
「もっと社会に女性の進出を」とのスローガンを一体いつから言っていることか!
国会でも決まった?しかし、実際はどんどん逆の方向になってるのは自明ですね。女性の国会議員のなんと少ないことか。
これはもう日本は先進国とは言えません。

 男性優位主義がまかり通っているのか、それとも女性は意識が低過ぎるのか、男性に媚びているのか、
女性の応援隊を自称する私には歯痒さ、落胆を感じてしまうことが多いです。
「男」「女」と分けないで、差別、格差、不平等を無くす。それぞれを「自立」させていく。
皆が平安の中で協力しあう「人間」。そんな世がいいなぁ!

 



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