八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.202


【掲載:2021/11/04(木曜日)】

やいま千思万想(第202回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

選挙が終わりました。しかし政治を注視し続ける日々の始まりでもあります

このコラムは衆院選が終わった11月1日に書いています。結果が出たわけですね。
先ず感じるのは〔国民は変化を求めなかった〕ということでしょうか。
あんなに不祥事が起こり問題を抱えた政権なのに、〈それを良し〉としたわけです。
選挙前には当の政党の中にも危機意識が有り、議席数が減るのではと予想した人々も居たと聞きます。
にも拘(かか)わらず大勢を占め、これからも政権を維持することになったのですね。

地球上のあらゆる問題に対峙、協調していかなければならない時代にあって、様々な分野での評価を落とし続けている我が国。
その責任の是非を問うことなく続投させることとした国民の判断。
私は思います、我が国の行く先に黒い雲の如く、深い霧が立ち込めるような不安を感じることになったのではと。

不信を抱かせ、多くの弱者に対して目に見える形で手を差し伸べることもなく、問題視に対して説明をせず、
秘密が多く、精神の痛みに鈍感、議論を軽視した更なる強権の方向へと舵を切ってしまうかも、と私には見える政権です。
それがこれからも数年続くということになったのですね。

多くの人々はその原因を探り、語り始めています。野党第一党への不信任が原因だとする人は多いです。
政治は、異なる意見、決定権が拮抗してこそ妥当な判断ができると私は思っているのですが、如何でしょう。
拮抗を促す政党の存在は重要です。
その政党に信頼感が持てないとなれば、もう先は見えなくなります。 音楽家としての活動を通じ、「コロナ禍」での政治の有り様を身体で経験してきました。
音楽の生業(なりわい)が不安なく行われ、全ての人々が「希望・平安」の中にある。そのような世界を望んできました。

 「善と悪」を短絡的に分けることは慎むべきでしょう。その思考を音楽を通じて私は学んだように思います。
問い続けましょう。そして求め続けましょう。音楽することは「人間を見つめること」です。
演奏家にとっても、聴衆としても「人間」が主、核心です。
機能、形態が大事ではありません。優先させるべきではありません。
「人間」とは如何にあるべきか。認め合い、信じ合える道を探る、そういう人間で有りたいです。

 演奏会の予定が続いています。
私にそれを続けさせている要因は「感動」でしょう。人との出逢い、音楽との出会い、その中で〈感動というエネルギー〉を頂きます。
「生きていて良かった」との思いは自然との出会いでも確かに有ります。
そして「私には〈音楽〉が有った!」その事にどれ程救われたか。

 政治を注視しなければなりません。納得のいかない事で我が人生に後悔を残すのは嫌です。
常に関心事として沢山の人と政治の話もしたいですね。
生活と直結している政治です。気が付けば「支配されている」なんて起こって欲しくない。
闘争でなく問題解決への協調となる意見交換。
音楽の世界はそうした事に気付かせてくれています。
如何に自分自身に欠けたところがあるか。他がどれほど大切であるかを。

 



戻る戻る ホームホーム 次へ次へ