八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.207


【掲載:2022/2/03(木曜日)】

やいま千思万想(第207回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

「命」を軽視する国家に未来はない!島の平安を強く求めます

   私の去年のメモ帳に「来年2月に石垣行き」と書いています。「コロナ禍」にあって実現するのか?
との思いもありましたが、「行きたい!」は確かにありました。
しかし、「コロナ禍」で顕れ始めた社会的な歪みで考えさせられ、
勝手に〈理想郷〉だと思っていた石垣島がいよいよ遠くなっていくのを徐々に意識し始めたのです。
何がそう思わせるのか。〈不安〉を感じるんですね。この平和の島に・・・・・・。

 ちょっと話はそれますが、つい最近テレビで石垣島が映りました。よく知っている風景です。
番組内容は「サンゴ礁が石垣島をどう育てた?」という、ある意味よく知っていたことを衝撃の事実とし、その証拠なる場所を巡るもの。
面白かったですね。
長い長い時間をかけてサンゴ礁が島を育てた。島がサンゴ礁を育てたわけではない。
島はこれからも育てられていく。
番組を見終えた時には「島は貴重な地球の遺産で、人間の力では到底及ばない自然の大きな営み、恵みであった」との感嘆の声をあげてしまいました。
自然を壊すことなく、その恩恵に最大の感謝をもって少しだけそれらから命の糧を頂く。
人間にとって必要最小限だけ、恵みを頂く。

 しかし、人類が残してきたものは「人間の欲を背景にした傲慢な振る舞いと破壊」です。
温暖化による大気変動。核兵器の驚異。留まることのない不信による争い。
欲がらみのいさかいと競争がずっと続けられている。欲は限りなく膨れあがっていくもの。
自然を壊してでも一部の人たちだけの為に走り続ける。社会はそんな機構になってしまった。
結果を見るまでもなく荒廃して行くことは必至です。
気が付いたときにはもう手の施しようがない状況下にある筈です。
しかし人間は変わろうとはしない。
それだけ「欲」というものが生きるために妙薬となって凶暴化してしまったということでしょうか。

 世界はどこも青息吐息です。上手くいっているように見えていても、人間一人一人は決して満足の、平安な心模様には至っていない。
地球はどよめきをもって至る所で悲鳴をあげている、そう想像してしまうのですが如何でしょう?
石垣島への飛行機から見た「島」が今脳裏にハッキリと映っています。
島内をどれだけ回ったことか。何周も何周も回りました。見る度にマンションが建ち、宅地が並ぶ。
それらは「繁栄」とも映る光景なのですが、度を超した計画では自然との拮抗が生じ、破壊に繋がります。

 最近、島は再びうごめいていますね。
基地問題がそうでしょう。コロナ対策、自然保護など問題は複雑に絡んで山積みです。
人間同士の対立も徐々に地下に根を張りつつあるかもしれません。
市長選が間近ですね。
棄権することなく皆が投票されますように。島の未来をしっかりと見つめて投票して頂きたいと島外から注視しています。
平和な島が一部なりとも、きな臭くなるのは正直言って「不安」。
2月に訪れることは無くなりました。
しかし、安全で、私の理想郷と映ったら、サンゴ礁の島に即行くつもりです。

 



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