八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.208


【掲載:2022/2/21(木曜日)】

やいま千思万想(第208回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

正しい「競争」と「共存」を体験し、豊かな「共生」を営めるか

  今、悩んでいます。深みが増していっています。
ちょっと俯瞰(ふかん)すれば私とその周りは意外に順調に進んで行っているかのように思われます。しかし、私の悩みごとは深いです。
まぁ、その問題が我が国の「コロナ禍」によって顕著に浮き彫りになってきた問題で、それについてはこのコラムでも書いてきたことですが、
いつも同じ悩みがグルグルと私の頭の中を巡っています。
何故かザワザワと体の一部が鳴っているのです。
しかし、この毎日の営みがあるかぎり心配など必要ない、「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」と言っても良いかもしれないですね。

 東京へは長い間行くことを躊躇していたのですが「もう、これ以上待たせることは出来ない。
会いたい!」と、逸(はや)る思いがあって先日出かけました。「東京コレギウム・ムジクム合唱団」の練習です。
団員たちだけの自主練習が続いていました。
練習場所の確保、そして「音取り」から「合わせ」の練習。「コロナ禍」の危機感が日々増していっている都市でのその活動は、並大抵の苦労ではなかったと想像します。
しかし、指揮者不在の中、練習を着実にそして律儀に続ける団員です。感染者数、そして病院の逼迫(ひっぱく)度が増していると報道されている東京。
行くには相応の準備と覚悟を持たなければなりません。

 実は最近では、大阪はその東京を上回る状況です(本当に大阪は酷い。現場での混乱、対応の拙さが表に出始めています。
その厳しい実態はなかなか全国には知られていないかもしれませんが)。その大阪から、同様に危機感強い東京へと向かったのです。
大阪のメンバーからは「本当に行くのですか?」と心配されました。
しかし、行って良かった!
団員たちの健康的なハーモニーが聴こえています。改めて私たちは「音楽」で強く結び付けられている、との確信です。
彼らの笑顔がどれ程私にエネルギーを与えてくれることか。彼らが感じたこと、奏でるハーモニーは確かな人間の力強い響きでした。
二ヶ月後には演奏会を控えているのですが、本当に楽しみとなりました。

 さて、私の悩みです・・・・・・。この後、「我が国は〈健康的な生活〉が営まれていくのでしょうか?」。
これまでの2年間に及ぶ「コロナ禍」対策の経緯が若い世代にどう影響を与えているのか。
〈人間の進化〉は「競争」と「共存」によって起こっている、という説が有ります。
全ての動植物にその原理が働いている。
ならば、人間にとって必要な「競争」が正しく行われているのか?そして「共存」を成り立たせる「バランス」というものが正しく保たれ、施行されているのか?
これからの世を背負う世代が、この「コロナ禍」で正しい「競争」と「共存」を経験する機会を失ってはいないか?
それが私の心の中で憂いを起こさせているようです。
一番の問題は「格差」。競争でも共存でも「格差」が付きまとう。
誰もが共に所を同じくして生活でき、互いの益となる「共生」と成り得るのか。
今が正念場だと思う私です。

 



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