八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.215


【掲載:2022/6/09(木曜日)】

やいま千思万想(第215回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

「感情的に心地良い言葉」は一度疑ってみる?

   日本が消滅する、そんなバカな!しかしそう非現実的でもない?
決して煽(あお)ろうとしているわけではありません。不安を誘おうとしている訳でもありません。
最近のニュースや公的機関の発表などを見ると、ちょっと目を疑いたくなり、考えたくなります。
まず、出生率が低くなっている。それは以前からも言われていたのですが、予想を上回って低い。
そして高齢化。ある外国の学者はこの状態が続けば「日本は未来に消滅する」と言っています。

 国は「対策を講ずる」とずっと言ってきましたが、結果は良くなっていません。
最近は「検討する」が決まり文句になっているようで、何もかもが「検討します」になる。
この言葉が発せられると「何もしない」ということらしい。思い出せばそういう例はこれまでにいくらでも出てくる。
そんなことを国民が許しているのなら本当にこの国は消滅するでしょう。
〈不安なく子供が育てられる〉という国にしたいですね。

 「報道の自由度ランキング」なるものがあります。それによると2022年は日本71位となっています。
これは国民に正しい情報が届かない、知らされていないということに繋がります。
いちばんの骨幹である「情報は共有されてこそ論議できる」が、ずっと遠のいてしまうのですね。
まぁ、どの世界でも同じだと思うのですが、物事は矛盾に満ちています。
その矛盾を知り、原因を追求した上で解決を図る。
そうでなければ、いつもどこかで誰かが不自由で、居た堪れない状況に追いやられるということになります。是非とも正しい情報を。

 「フェイク」という言葉が飛び交っています。偽物とか嘘ということなのですが、巷(ちまた)には確かに溢れているように私も感じています。
それらは「熱心」に発せられます。
正しいことよりも語りが熱く、語気が強いゆえに本当のように受け取られがちです。
ここに日本語の〈曖昧さ〉も発揮され、丁寧な言葉遣いで、どちらとも取れるような言い回し。
そして感情的。論理的でなく情緒的に。

 日本語は議論には向いていない言語です。
「感情的に心地良く、耳当たりの良い言葉」には気をつけましょう、ですね。
一度疑ってみる余裕があれば良いのですが。
この国はさまざまな問題を抱え込んでいます。
根っこには戦後の「日米関係」。それがゆえに「沖縄復帰50年」があり、日本の経済、産業、他全てにおいて縛りがあります。
これでは自主独立とは言い難い。「何故こんな国になってしまったのか」と、私もそうですが、色々な方が一様に言い出しています。
危機感を抱いているのでしょう。そう、世界は大きく舵取りを必要としています。
今世界で何が起こっているのかを知れば納得いく反応ですね。
「自由度71位」がとても気になります。誰かが、あるいは組織が何かを隠しているようにしか見えません。
あるいは知らせないように抑え込んでいるようでもあります。
その実感があるだけに自由の危うさをも噛み締めて、今後を生きたいと思いますね。

 



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