八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.223


【掲載:2022/9/29(木曜日)】

やいま千思万想(第223回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

日本は世界から見れば不思議な異国?益々世界から離れ遠のく?

 世の流れから言って「国葬」について書くべきかと思うのですが、やめておきましよう。
あまりにも私にとっては当たり前のことであり、賛成か反対かをわざわざ思考するには値しないものです。
多数派と少数派の意見をどう聴き、判断するか?
民主主義というものが我が国に有るのだとすれば、多数派と少数派の意見をどう聴き、考慮しつつ反映させていくかにかかっています。
そして最終的に決定するのは国会(私たちが選んだ議員)であり、国民たる私たちです。

 残念ながら、「国葬」による全ての混乱の始まりは最初の決定にありました。敢えて書きましょう。
日本は世界から見れば異種の国。世界からは理解しにくい「特異の孤独」の中にいるよう。
世界のリーダーとして自身の自負はともかく、既にもう世界から観れば影は薄いのではないかと感じます。
アジアにおける未来を魅せていた、かつての姿はどんどん色褪せていっているのではないか。
日本の報道や情報がアジア諸国に発信されていると思うのはそう間違ってはいないでしょう。
これまでに発展途上国にお金がばら撒かれています。その厚き援助に確かに日本の評判は高い。
しかし、それらの国の人々が一旦日本での滞在経験をしたならば、
出会った日本人は好まれていそうですが、国の理不尽な措置によってその理想像は崩れていっているのではないか。
そんな問題を扱ったドキュメンタリーがテレビの報道番組などで放映されている。日本の表と裏のギャプが大き過ぎる。

 もうひとつ心配、不安なことがあります。「円安」問題ですね。
私は専門外なので経済論を書くことができませんが、私はリアリスト。「現状」がどうなっているか、いないか、それが全てです。
理論ではなく、現在が幸福な社会なのか、納得できるものなのか、否かです。
理論を言う人が沢山います。
しかし格差社会、そしてジェンダー差別のはびこる生活において実生活での「幸福感」「満足感」を抱くことができない人たちが多く居て、
その人たちが未来に希望を持てないのならば、どんなに立派な理論や伝統的な風習を諭(さと)され、説得されようがそれは絵空事の社会。
何度も書きますが、結果がすべてです。
問題が解決できたか、たとえ解決できなくとも希望は持てるのか。

 物価が上がっています。が、賃金は上がってはいません。
仕事はきつくなるばかり。正規雇用と非正規雇用のアンバランス。生活は物価高騰のために萎(しぼ)められています。
精神的なストレスを持っている人がどんどん増えている。その原因は「個人」の尊厳の薄さ。「命」の軽視だ、と私には思われてなりません。
以前にも書きましたが、大きなもの〔マクロ〕の世界観でなく、
小さいもの〔ミクロ〕に対してどれ程に人として寄り添えるか。その一点です。

 誰にとっても日常が生き生きと暮らせる社会か。
明日への生きるエネルギーが出てこない人の想いをどのように汲み取りながら共に生きるか。
生きることの楽しさや、喜び、幸福感で過ごしたい。益々そう思います。

 



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