八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.225


【掲載:2022/10/27(木曜日)】

やいま千思万想(第225回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

国会中継は面白くない?!しかしそこで起こっている言動は国民にとって視聴必須です

  国会中継を見逃すことができません。
我が国にとって見過ごすことのできない事項が次々と顕わになっています。
毒性が強いと言ってよいほどの根っこが、芋づる式に地上に掘り起こされていく様な姿は観ていて胸が痛みます⋯。
沢山の方々が指摘している、安倍政権での森友学園をめぐる公文書改竄(かいざん)、加計学園問題、「桜を見る会」問題は未だ解決していません。
真相不明、政府は調べるつもりも追究することもしないようです。

 我が国民は税金の行方に関心がない人が多いのでしょうか。
税金がどのように使われているか、これはとても大事なこと。有効に、格差なく、偏(かたよ)りなく、納税者全て、国民が納得できるものでなくてはなりません。
国民が選んだ議員とは言え、自分だけに都合よく利己的に使われては堪(たま)りません。
そして、国会が今激震を起こしている事柄。
問題の当人、安倍元首相が亡くなった後、その原因であったとされるカルト教団と政治家の関わり。
現政権が倒れるかどうかに関わる程の危機となることが濃厚な案件です。
しかし、そこでの質問に対する仰天の醜態をさらす大臣や議員の答え。
不可思議な言葉の乱用。言葉の虚しさが、使われる人間たちによって広がっていく。
こんな問答が何故許されるのか。真っ当な人間の行うべき問答では無い!

 同じ国会での委員会で、医療ミスによる後天的な重度の障害を抱えた天畠大輔(てんばた だいすけ)氏が質問者として登場した。
その簡潔さ、明晰さに私は感動を覚えました。
話すことができない氏の通訳に2人の介護者が就く。
1人が五十音の「あかさたなはまやらわ」と矢継ぎ早に聞いていく。「あかさたな話法」というらしい。
天畠氏は言いたい言葉の文字を腕を動かして通訳者に伝える。
静寂の中の委員会。そんな風景は見た事がない。いつもヤジが飛び交い、稚拙(ちせつ)な行動による騒がしい印象。
しかし今回の映像は感動すら覚える。
長い時間の後、その意見の内容が訳されて言葉が顕(あらわ)になる。
「身体障害者に真の理解ある助成を」との意味で「身体障害者に対する〈温情主義〉による施しはやめてほしい」と言い放った。
〈温情主義〉とは言い得て妙。この言葉ほど助成の陥(おちい)る点を突いたものは無い。
上から目線での助成でなく、社会的弱者に対する理解ある、平等の助成をと主張したのです。

 〈温情主義〉と聴いた時、私は国からの沖縄に対する政策に思いが飛びました。「温情主義」・・・・・・。
支援が〈温情主義〉から発しているのなら、受ける側は常に〈施しを受ける心理〉が働く。
つまり与える側に帰属したい、しなければとの思いが働く。そうではなく、堂々と帰属することなく支援を受けて良い。
上下関係が根っこにあるのではなく、支援する方も、される方も「平等」によって行われるべき、私はそう思います。
〈交換条件〉が有る、を当然としない。
支援を受ける側の誇り、権利を尊重する形で支援、助成がある。
そのような国が良い、そう願う。

 



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