八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.227


【掲載:2022/11/10(木曜日)】

やいま千思万想(第227回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

ため息が出そうな世相、その心を奮い立たせて至福の音楽の道を歩みます

 「マイナンバーカード」の話題が耳に入ってきました。私は既にカードを持っていて身分証明として使用しています。
発行当時は賛否両論があって、どちらかというと今に至るまで取得に懐疑的な人が多いように思います。
しかし、私としてはこのシステムはセキュリティーがしっかりと保証されて運営されれば随分と便利になると思っていましたから、初物興味津々の私としては早速に申請しました。
ただし、その時は身分証明書代わりとしての利用目的です。
車を運転しない私は、一般的に用いられている「運転免許証」代わりに「国民健康保険証」を使っていました。
私のような仕事は身分証明をするにはこの選択です。その「国民健康保険証」と「マイナンバーカード」とが紐付けできるとのことで、これも早速実行しました。
ペラペラな紙のような健康保険証よりはカードを見失うことも無いだろうとの思いです。

 いざ取り掛かると、それは大変でした。というか、これはいわゆる『IT(アイティー)』、コンピュータやインターネットに疎(うと)い人にとっては難題だと思いましたね。kし もう少し、いやもっと敷居を低くしなければ「マイナンバーカード」は拡がらないと確信します。
政府は取得者を増やそうとあの手この手で誘いましたが、一つはセキュリティーの問題とその複雑でお粗末なシステム故に拡がってはいないというのが現状です。
最近のポイントを付けるという発想、その視点の浅さだけが目立ちます。それも二転三転した誘い法でしたね。
最大の課題は「個人情報漏出(ろうしゅつ)」に関してです。
どうもそこのところが疑わしい。当の公務員や関係者から疑義の申立(もうしたて)が出されていると聞きます。
何とも可笑(おか)しなことですが、ただ笑って済ますことのできない深刻で不安な情報ではあります。

 「マイナンバーカード」と「国民健康保険証」は紐付けしたのですが、他人(ひと)からの勧めもあり、またまた〈機械好き〉の癖(へき)も有り、ポイント付けを行おうとしました。
しかし、これがまた複雑怪奇なもので未だ出来てはいません。ここで説明できればいいのですが……。
本当に何カ所にも関門があり、手順が複雑な上に様々なところで個別に記号や文字を入力させられ、
またその為にメールなどに届いた数字を見なければならず、そして間違ったり、操作画面を変えたりするとまた最初からやり直しをさせられるといった厄介なことが起こります。
パスワードがまた頭の痛い問題!沢山のパスワードを持っている人にとっては全部覚えているのは不可能。
ですから専用の備忘メモに記載しておくのですが、それを探し出す、という操作も必要となります。
もし、パスワードも、そのメモも忘れたとなれば……、それはもう地獄の様相ですね。

 これからも「マイナンバーカード」には色々と紐付けの誘いがあることでしょう。
しかし、高水準の安全性と共に誰もが平易に登録できるようにならなければこのカード、一歩も進まないことになるかもしれません。

 



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