八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.228


【掲載:2022/11/10(木曜日)】

やいま千思万想(第228回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

ため息が出そうな世相、その心を奮い立たせて至福の音楽の道を歩みます

 時折「常識」と言う言葉が頭を中を飛び回ります。
「常識」の意味は《社会的に当たり前と思われる行為。
健全な一般人が共通に持っている、または持つべき、普通の知識や思慮分別》ということでしょうか。これに悩まされての飛び回りです。
私自身、気にもせず「常識」という言葉を人との会話で使ってました。
過去形にしているのは、最近では使うことに気遣いを覚えて控えるようにしているからです。
もし使うとすればこれも良く使われる反意語「非常識」との対比で使うようです。

 「常識」に違和感を持つことが多くなっています。
それは、〈社会人として疑いを持つことなく、価値観が共有され、そして皆が持つべきもの〉として認識されているその常識を盾にして、
「非常識」と思われる事々や言われる人々を断罪しているのでは、と思うからです。
「〈決まり〉を守りなさい」「〈協調性〉を持ちなさい」と、ある固定観念でもって迫ってくる。
その価値観が前提だとして疑わない考えなのでしょう。これが苦手です。
特定の社会に限定されているだけかもしれないのに・・・・・・。

 相対性理論で有名な物理学者アルベルト・アインシュタインが残した言葉があります。
「常識とは 18 歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない。」言い得て妙です。
私は思うのですね。
「常識」を越えて普遍性を持った特定の社会に限定されない真理が別に有り、常にその時代の「常識」に疑問を持てる考え方、知恵を持ちたいと。
それは「良識」を持つと言うことでしょうか。
自分らしくありのままで生きることを大切にする。そういった価値観もありますよね。
それを実行に移してしまうと、周りからは「型破りな行動を平然としている」「決まりを守れない人だ」「協調性の足りない人」と思われ、呼ばれてしまう。
しかし「非常識人」とする特徴を幾つかあげれば、

1. 好奇心が人一倍強く、好きなことは徹底的にやる。
2. 独自のこだわりを持つ。
3. 固定概念にとらわれない独創的な発想力で斬新なアイデアを次々と生み出す。
4. 行動力が高く、早い。との豊かな感性も浮き上がってきます。

 これは決して軽んじられるものではないと思うのですね。
普通の社会人が縛られて困るような〈しがらみ〉が全く無いからかもしれません。
他人に興味がなく、自分のことが大好きで自己中心的な性格、とも見えますが、『私はこう思い・こうしたい、あなたはどうなんですか?』と投げかけている行動なのかもしれません。
優先されるべきものは時代の〈しがらみ〉に因ったものでなく、未来を見据えた熱い発想力。
『これが世の中の常識』と追うことなく、『世間の大多数は正しい』とも思い込むことなく、
先にも書き、繰り返しになりますが『「常識」を越えて普遍性を持った特定の社会に限定されない〈真理〉が別に有り、
常にその時代の「常識」に疑問を持てる考え方、知恵を持つ』を、これからも「非常識」に追究したいと思います!

 



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