八重山毎日新聞社コラム
蝉が騒がしい!その騒がしさで眼が覚める。
【掲載:2023/07/20(木曜日)】
やいま千思万想(第243回)
「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一
ものを破壊してはならない!自然をないがしろにしてはならない!
私の住む階には、そして寝ている部屋の窓外では早朝からつがいらしきネコが鳴いてなんだか薄気味悪い時がある。
それは朝であったり、時々昼間や、夕方にも現れる。それがネコではなくカラスだったと気付いた時は驚いた。
カラスは賢い。そして気味悪いが何とも言えず愛嬌を感じる時もあって親しい友人にも見えるときがある。
自然界の命の声。その恵まれた地球に住むことの不思議さと尊さに気付かされる。
朝の目覚めや、盛夏となっている7月に生きている事に感謝を覚える。「喜び」だ!
地球と書いたが、実は他の星から見れば「地」の星ではなく、「海」の星。
《海球》と呼ぶに相応しい星だ。そう、地球は海の惑星なのです。
現在、その海に大きな変化が訪れている。
氷河が溶け、温度が上がり、海に生きる者たちの生態が激変して、海の中は大騒ぎです。
魚達の住む、泳ぐ海の道は大きなうねりを持って変化している。
詩人の金子みすゞが
「朝焼け小焼だ/大漁だ/大羽鰮(オオバイワシ)の/大漁だ。浜は祭りの/ようだけど/海のなかでは/何万の/鰮のとむらい/するだろう。」
とうたった「大漁」という詩の世界は今はもう昔。
夕日が姿を隠そうとしている。その夕日を取り巻く雲が低く垂れて夜の訪れが重い空気と共に現れる。
水平線の彼方には、今や沈もうとしている疲れ気味の太陽の光が真一文字に輝いている。
この一線の光、なんと見事に浮き出た昼と夜を分ける心に迫る光なのだろう。
また、夕日が沈み、隠れていく数分の合間を照らすグラデーションがとても神秘的でいて美しい。
しかし、その色は不気味に変化していっているように感じる。
海の星、「地球」は病んでいる。いや、死が近づいているようにも見える。
世界の多くの人たちがその様を予言と受け取り警鐘を鳴らし始めて久しい。
世界の人々は、声を揃えて「対策をしましょう」と宣言する。
しかし、現実は誓った対策が一向に果たせていない。いや、これもまた果たす気が始めからそんなに無かったかもしれない。
今の生活を維持することに執着して、抑制することを実は欲していないらしい。
これは人間の「業」だ。
これまでのエネルギー源を再考する必要がある、との方向性は示されている。それを成し遂げるには「科学」。
そして新しい「技術」。その開発に全力を傾けて人間は前進しなければならない。
それを押し進め、手を携えて推進する役目はこの国の人々から託された代議士や首長でなければならない。
何にも先んじて、この地球の危機を考えなければならない役目。
今地球は壊れかけている、と想像できなければならない。
人間が一番恐れるモノ、人間には抗(あらが)えない自然界。人間がどうのこうの出来るモノではない。
もし人間が出来る事があるとすれば、それは「破壊」することだけだ。
地に爆弾で穴を掘らず、人間が知恵を持って築き上げた建造物を破壊せず、人が人を殺さない!
その一歩がこの地球を救う。