八重山毎日新聞社コラム
台風7号に見舞われようとしていた伊豆半島、その真ん中ほどにある施設《伊豆湯ヶ島温泉「白雲楼」》に「夏合宿」で訪れました。
【掲載:2023/08/17(木曜日)】
やいま千思万想(第245回)
「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一
自ら地球を壊してしまうほどの「悪魔の武器」を手にいれた人類。使わせてはならぬ!
半島のど真ん中を縦断するコースと予想されていた台風なのですが、台風のその速度やお宿の立地条件などから判断して「まあ、なんとかなる」とのことで敢行。
そして見事に、「晴れ男」と自他共に認める私を避けるように台風がコースを変更。
沖縄に居座った台風6号のように速度を落とし迷走を始めます。そして今の予想は、何と東から西に向きを変え、紀伊半島を狙っている。
そのため伊豆は危険な状況ではなくなったのですが、今度は合宿を終えて帰阪するとき台風に遭遇するという事態に。
最近の台風は先が「読めません」。
自然がこれまでになく変化しているという実感です。
毎年お世話になっているお宿のことを書きますね。
私たちが訪れることをとても心配して頂き、最悪時の対処法を考えて安全確保を取る対応。
その一つに「崖崩れ」がありました。お宿は川を前面にし、裏は直ぐに山となっています。
もし、雨が強く降り続いて崩れてしまうと施設が壊され、流されると心配される。
しかし、私にはこれまで見てきて、その心配は必要ないと判断していました。建物の直ぐ裏は山。
山は建物の間際まで大きな木が植わっています。根をしっかり張っていますから山崩れは起きないでしょう。
木を見れば、二本ほど幹に赤いテープが貼ってあり、それは伐採しなければ倒れる、あるいは折れるであろうとの印(しるし)。
まだ新しいテープに安心します。山は木が植わっていなければなりません。
人間が無計画に多く伐採すれば大きな災害を起こします。山肌が崩れる、そして山が無くなる。
それは自然を壊し人間を絶滅へと向かわせる所業です。
最近、「自然」に目覚めました。
これまでも畏怖していましたが、草や花、そしてそこに這い回る、あるいは飛び回る生き物にとても親しい想いを持ち始めています。
命を育む地球。なんと豊かで美しく、そしてうごめいて、ひしめいている。宇宙の中でも稀有な奇蹟の星。全てが愛おしくなっています。
地球の長い歴史を1日と例えれば、人間なんて現れたのはちょっと数秒前の時間。
この人間が、自ら地球を壊してしまうほどの「悪魔の武器」を手にいれた。自然界にはない恐ろしい「破壊物質」を。
未来には地球を飛び出して「宇宙人」となった人類だけが生命を保っているだけかも知れないですね。
「地球」ではなく、「海星」である豊かな星が砂漠化するなんて想像したくない。
我が星は他の宇宙から飛んできた彗星に打たれて木っ端微塵になるまでもなく、自らの手で地球全体を消滅させてしまっているかもしれない。
その恐れが現実的になって来ていると警鐘をならす人が増えています。
自然に囲まれて生きる。自然に助けられ、あるいは磨かれて強くなりながら生き続ける。
草花を絶やしてはならない。
生き物たちの生態系を断ち切ってはならない。
生命が宿る全てのものと共に生きぬく覚悟で私は生きる。