八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.251


【掲載:2023/11/23(木曜日)】

やいま千思万想(第251回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

皆で「たらし」に成りませんか?きっと面白い事が起こりますよ

 「誑(たら)し」という言葉をご存知ですか?
文字ではなかなか見る機会がないかも知れないですが、会話では聴かれるのではないでしょうか。
いや、それとて今は少ないかもしれませんね。
若い時、私のことを「人たらし」と評されたことがありました。団体を作り、活動を始めた頃です。
きっとそれは〈人をたらして集団を動かしている〉という意味なのでしょう。「騙(だま)して」?
「たらし」、もともとは【狂言】の「あの誑(たら)しが、やるまいぞやるまいぞ」
(入間川にさしかかった大名が、物事を反対にいう入間詞を聞いておもしろがり、衣服や太刀などを与えるが、
最後に、その入間詞で欺き、持物を取り返す。三大名物(だいみょうもの)の一つ。)で使われた台詞の一部だとの解説があります。
なるほど「だまして」の意味でしょうね。しかし、それは〈戯れ言〉でもありますから、そう悪い意味だけの言葉でもなさそうです。

 私を「人たらし」、良い意味で言っていただいたと自分勝手に受け取っていたものです。
「たらし」の意味を解説しているものがありました。
そこには
1,常に笑顔で人と接する。
2,ポジティブ(積極的・肯定的)な考え方を持っている。
3,好奇心旺盛で人の話を楽しそうに聴く。
4,同性異性にかかわらず好かれる。
5,リアクションが面白い。
6,人間関係のためにはお金を惜しまない。
7,誘いに対してフットワークが軽い。
8,他人を上手に頼る。」

と書いてありました。
言い得て妙ですね。なかなか的を射た解説です。
「当てはまってるなぁ」と納得する私。
私的にはもう一つ付け足して「音楽たらし」と言って欲しいと後に思ったものです。
人ではなく音楽を通じて関係を築きたかったのですからね。

 ちょっと話は違いますが、「店選び」についても同じだとの思いを書きます。
前号のコラムで「どこもかしこも同じような都市化を目指すのではなく、独自の魅力作りが止まらない『文化力』を持つ事こそ価値が高まり、
世界中から人が訪れる場所となるに違いないでしょう。」と書きました。
島に一時だけでなく、長く、緩やかに、地に足が着いた「栄え」が有りますようにと願ったのですが、
まさに多くの「たらし」を持つ人や事があることが条件かもしれません。
お店にとって大事な事、それは「接客」に尽きると思う私です。
接客が拙(まず)い所には、出されるものや、置いてあるものが優れていても人は満足できるものではありません。
飲食店では「原材料」と「味」が一番の課題でしょう。と同時に接客も最重要です。
お店と客とのコンタクトが強く互いを結び付けます。
それが成り立てば「価格」はそれに見合ったものとして満足できるものになります。
そのような「店」が沢山有れば、観光地としては一級です。
何度も書いてしまうのですが、やはり「人の魅力」が肝心要(かんじんかなめ)、押え所です。
島も多くの問題を抱えていることでしょう。でも「人」が全てを解決へと向かわせます。
皆で、「たらし」て見ませんか!





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