八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.274


【掲載:2024/11/21(木曜日)】

やいま千思万想(第274回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

「不倫」について語りましょうか、その正体とは?

 政党の代表が「不倫」で世を騒がせています。
またか、と言うのが正直な感想。いつまで経ってもこの手のゴシップはセンセーショナルに扱われます。
国民民主党代表、玉木雄一郎氏の事ですね。
「不倫」は古代から、いえ、人の歴史が始まって以来ずっと続いています。
ちょっと蓄(たくわ)えが有り、地位も付けばほとんどの人が犯していると思ってもそう外れてはいない筈です。
そしてそれは大きく大問題化されることなく、隠されているだけ、隠しているだけです。
実はこれは容認している人が多いからでしょう。誰もが〈自分もするかも〉と思っているからですね。

 結婚していても人は人に惹きつけられる事ってあります。好きになることもあります。
これはあり得ること、むしろ良いことです。
「腑におちない」のはそれを大罪とすること。ただし、です。
一線を越えた場合の責任の取り方については大問題です。
古代ならいざ知らず、その点今回の氏は大罪にあたるでしょう。
一線を越えた時の「覚悟」、責任を果たしてはいないからです。
相手の女性が被害を被っているのに、謝罪だけで済まそうとしているからです。
稚拙というか、軽く、それは一国の進路に関わっている議員、ましてや党の代表としては済まされる話ではありません。

 さて「不倫」とは何でしょう。 調べてみると■ふ‐りん 【不倫】人倫にはずれること。
人道にそむくこと。
特に、近年では男女の婚姻外の関係について言う。
と出てきます。他の辞書では、

A:①〘名〙人が踏み行うべき道からはずれること。
②〘名・ス自〙特に、配偶者でない者と性的関係を結ぶこと。
B:①程度・種類などが同じでない。
②[日本]人間としての道理にはずれていて不道徳なこと。
▽特に、男女間の不道徳についていう。
C:① 類を同じくしない。すじ道が立っていない。
② 人の道にはずれる。不道徳。などとあります。

 今回というかいつも、不倫とは「配偶者でない者と性的関係を結ぶこと。」の意味で使われることが多いですね。
私が問うのは人間としての「道理」の方です。資質の方です。
男女の婚姻外関係の「不倫」でなく、その際の人間としての信頼度、人間の資質に関してです。
身を賭して(職・地位を辞しても)、愛を貫く覚悟の上なのか。それが責任の取り方というものです!
この原稿を書いているところに兵庫県知事選挙の結果が出ました。
大方の予想と違って現職の知事が再選されたようです。
米国の大統領選挙と同じで、ネット、SNSの勝利となりました。
争点だった「文書問題」や「パワハラ」はどこかへ消え、
〈可哀想な知事〉、〈大手メディアのイジメ〉との書き込みが県民の心を動かしたようです。
錯綜する真実かフェイクか、またしても知性が問われるものでしたが、
一種のファン投票、宗教的情熱のようなものが過熱しての選挙戦に成りました。

 何を持って人物を評価するか、批判するか。
これは県民、国民の民度、知性の問題だと私は重く受け止めます。
一方的でなく賛否両論の情報を沢山得ての知性を求めたいです。





戻る戻る ホームホーム 次へ次へ