八重山毎日新聞社コラム
TVドラマとか映画は楽しいですね。しかし、楽しいってどういうことなのでしょう。
【掲載:2024/12/05(木曜日)】
やいま千思万想(第275回)
「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一
「言葉」を再考 活きて信じるに足りる
出演している俳優に興味がある、今流行りだから、その楽しみ方は色々だと思うのですが、
私の〈面白さ〉は、脚本と監督のシーンの撮り方や、携わっている専門のスタッフであって、
その技術に感心して、〈学び〉を覚えることにあります。
ですから見終わると疲れているんですね。しかし、その時間は実に充実したものです。
また「筋立て」も大事です。
その中に意外に知られていないテーマも含まれていて、観ている私たちの世界が拡がります。
昔、何かで読んだのですが、「説明しすぎる台本は良くない」というのがありました。
何でも言葉で説明するのですね。観ていれば、一度聴けば解るというものです。
またシーンの撮り方で映像は言葉以上の意味をも与えることがあります。
それをいちいち何度も言葉で説明するなんて、今風に表すならば「ダサい」。
「伝える言葉」の事を考える時ラジオを思い出します。
言葉だけで伝えさせようとすればそれなりのテクニックが必要なんですね。
例えばです。合唱団の担当者に「明日の練習は、いつもより少し早めにしたいです。
新入団員も来ますので、合唱団の資料など必要なものだけ多めにコピーして持ってきてもらえますか」と言っても普通ならば用をたしません。
内容が〈曖昧〉です。「少し早め」とはどのくらい?
5分?でしょうか10分?でしょうか、それとも20分?でしょうか。
「多め」とは? 1部?、2部?、5部? 最近の人(若者)は
「言葉としてハッキリ具体的に、それも相手の性格を知った上で、具体的な言葉として示さなければ伝わらない人が多いです。
上の例を修正して言えば、「明日の練習は、いつもより20分早く、◯時◯分に始めます。
新入団員1人と見学者も2人参加するらしいから、資料を合計3部コピーして持ってきて」が良いとなります。
私の年代では「少し考えれば解ること。歯がゆいなぁ」と思ってしまいます。
全てを指示しなければ伝わらないのが不思議です。想像力の欠如?
少し話がズレました。言葉を伝えるにはテクニックが必要で、そうでなければ大事に到ることもあります。
TVドラマ・映画の話に戻ります。少し前になりますが、聴覚に障碍を持った人のTVドラマがありました。
「見ることができるが聞こえない」、手話で意思疎通を図ります。
若者の恋愛を通して描かれた物語でしたが、「台詞」が言葉以上の意味を持ち、映像と結び付いて秀作となり、
評判もとても良かったと思います(こういった内容が人の心を打つ、まだまだ日本は捨てたものではないです)。
しかし一方では相変わらずSNS上に拙い文章が溢れています。
どうしてあんなに汚い言葉を使って人格攻撃ができるのでしょう。
匿名だからできる?いやそうでも無さそうです。
実名でも行われていますから確信犯です。
内容は支離滅裂で、目立ちたい、フォロワー数を増やしたいためとの下心も見え見えです。
「言葉」を再考したいですね。