八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.278


【掲載:2025/01/16(木曜日)】

やいま千思万想(第278回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一

甘い言葉に騙されませんように!悪賢い魔の手はいつも襲ってきます

 日本語が乱れている、と書いてきました。今もその気持ちは変わりません。
日本語の曖昧さに悩まされてきました。
そのことを悪用する人が増えてきたことに悩まされ、いや怒りさえ覚えるようになったのです。
この国ではなんでも自分流に変化させます。理解する努力を怠って安易に理解し使ってしまうのです。
ですから騙そうとする人間にとっては実に良い武器となります。
悪賢いと、いとも簡単に思慮が浅い人を騙せます。
その場合、言葉の力は無力です。それが今の我が国です。
これ程言葉が無力になったことは歴史上無かったのではないでしょうか。
どんどん本来用いられていた意味が変わって、時には真逆の意味となっている事も少なくない。

 「思慮不足な人」と書きました。思いを正直に言葉にしました。
それを誤魔化して怒りを買わないように言葉を選ぶこともできますが、それでは真意は伝わらないことに気づきました。
日本語は悪用されやすく論理的思考を止めてしまう言語です。
圧倒的に感情的、情緒的な、厄介なものを持っている言語だと思いますね。
我が国の人のほとんどは私を含めて「思慮不足な人」だと思います。
溢れている会話に使われている言葉は混沌としていて破茶滅茶ですし、元の意味を辿ることができません。
仲間同士にだけ伝われば良いわけですね。これでは建設的と言いますか、他の人格を持つ人との意見交換ができるわけがありません。
人が持つ「世間」が狭過ぎます。

 言葉の悪用の例を示しましょうか。それは「保守」という言葉。
私の立ち位置が「保守」だと解りました。実に長い間この言葉に悩まされてきました。
長すぎました。解ってみれば、いとも簡単なことでしたね。
「保守」という言葉が、今では単なる体制派、自民党支持者、親米といった程度に使われています。
本来はそうではないのですね。ある方が著書で書いています。

 『「保守」とは何か。ひとことで言えば、「近代の負の側面の暴走を警戒する姿勢のことである』と。

 つまり批判的に物事を見て、「私にとって不利益になること。この社会にとって不利益になることに対して〈警戒〉すること」なんです。
そして「暴走しない!させない!」が本来の意味です。
私はずっとそう思っていたのだと思うですが、いつの間にか、上に書いたような意味合いに慣らされていた、と気付いたわけです。
字数も限られてきました。
【ヒトラーの大衆扇動術】を持って今回は閉じます。言葉を考えたいです。

・大衆は愚か者である。・同じ嘘は繰り返し何度も伝えよ。
・共通の敵を作り大衆を回結させよ。
・敵の悪を拡大して伝え大衆を怒らせる。
・人は小さな嘘より、大きな嘘に騙される。
・大衆を熱狂させたまま置け。考える間を与えるな。
・利口な人の理性ではなく、愚か者の感情に訴える。
・貧乏な者、病んでいる者、困窮している者ほど騙しやすい。
・都合の悪い情報は一切与えるな。都合の良い情報は拡大して伝えよ。
・宜伝を総合芸術に仕立て上げる。大衆の視覚聴覚を刺激して感性で圧倒する。
くれぐれも騙されませんように!





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