八重山毎日新聞社コラム
私の周りで子育て世代が増えてきました。これはオーケストラと合唱団の話です。
【掲載:2025/05/22(木曜日)】
やいま千思万想(第285回)
「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 当間修一
子育て世代と共に「子供たちのため」に活動を続けます
長く活動を続けていると増えるのが当然でしょう。
「オーケストラ」は本人もその周りの人も、プロという意識が強く、子供に対する関心度も高く、
環境も整っていることもあって子育て問題はそう大きくなることはないようです。
(しかし一方、苦労されている人も居るということは忘れたくないです)
「合唱団」では状況が違ってきます。子供が生まれた時、「活動を続けるか辞めるか」がのしかかってきます。
本人の意思の強さにも依りますが、周りの理解と協力が強く必要となるのがこの時です。
で、この問いが生まれます。これが合唱団に特有の課題として残っている現状です。
それは合唱はアマチュアであるという思いが壁になっているからだと思います。
私が携わっている合唱団の全てと言って良いほどにこの問題が浮上しています。年代が重なっているからです。
女性も男性もその渦に巻き込まれて行くといったドラマが私には見えます。
「子供が生まれた!」、団に祝福の声が上がります。お父さんになる男性には「頑張れよ!」という声。
この「頑張れ」というのは何を意味するかは意味慎重ではありますが、まぁ、「これからは一層働かなければ」との含みがあることは想像できます。
何かしら無責任な言葉です。誕生の祝福の言葉には母となった人に対する「これからは協力を惜しまないです」の気持ちが含まれ、
父となった人には「己を傷めることなく、過度の労働は避けねば」との心遣いも含まれているのでしょうか。含みたいですね、私は。
加えて大事なのですが、二人の親に送る言葉のこれらの中には、「子供にとって最善の環境を整えてあげる」という大切な思いが含まれている事が必要です。
全ては子供の育成が最優先です。母や父の為だけであってはなりません。
合唱団で例えるなら、素敵に歌っている両親の姿を子供に伝える事が何よりの良質の教育です。
沢山の大人が一つとなり、協和・調和の空間を共にする。これ程の良い環境はそう有るものではないです。
平和で友好的、知的で、感情の全てが整っている空間。最高の環境ではありませんか。
そこは人の温もりを全身で捉えることができる場所です。
活動の妨げになる「子供参加」。練習場を駆け回ったり、大声で叫ぶことがあります。
子供にとってはそれは当然の行動です。
本来あるべき理想は、どんな場所でも子供空間と大人の空間が分かれていることです、そして時々親子が揃う時間を作る、です。
合唱団に託児所を設ける事としました。
人材、部屋を確保しなければなりません。費用も予算化した方が確かなものとなるでしょう。
それには団員の意識を高め、賛同を得ての実施でなければなりません。
一つの合唱団で先日から始まりました。
もう一つの合唱団は現在計画が進行中です。
子供は社会が育てるべきだとの思いが家庭と社会を結びます。
子供は親のモノではなく、社会人としての「私たちのモノ」です。
この制度を確立できるよう尽力します。