八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.294


【掲載:2025/10/23 (木曜日)】

やいま千思万想(第294回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  當間修一

【浅瀬でたむろし、もつれ合うより 深みの真実を探しましょうか】

 今の日本、私もそして多くの人々にとっても、驚きの、信じられない政治が行われていて困惑している。
私たちが直接選んでいないトップ同士が既得権を争う、〈狐や狸のだまし合い〉の様相。
私には醜悪に見える。しかし巧みだとも思う。それだけ必死さも伝わる。
しかし納得がいかない事がずっと続いているこの思いはどうしたことか。
きっとそれは〈語る言葉に不信感を抱く〉からだ。欲がらみの言葉は恐ろしい。
後からどんどん修正して、いつしか〈語った言葉〉は無くなっている。それらを「言い訳」と呼ぶか、「詭弁」か「弁解」なのか。〈煙(けむ)に巻かれる〉思いしか残らない。
いささか醜悪に感じて気持ちが悪い。言葉が真実を隠して「欲」を満たすための武器になっている。「益」となるか「害」となるかは、言った人物の資質に拠る。
 見分けることが必要だ。それは聴いた者の責任でもある。しかし、それがまた難しく巧妙に仕掛けられた手法に惑わされて、責任を果たせない状況に置かれている。
その手法とは何か? そもそも事の始まりは何であったのか?そこから離れてはならないのに遠ざけられる。つまり事の根っこを忘れさせる、記憶を消す手法だ。それは人々に根っこを思い出させない、維持させない、そして探らせないようにすることだ。目的は隠したいことをはぐらかして、聴き手、読み手に別の興味を持たせること、向けさせること。誰もが飛びつく軽い関心事に目を向けさせ、本質から離れさせる。
人が関心をもつものとは?難しいことを避け、誰もが関心を持つ芸能記事的な類で留める。日常が政治に拠るのに、娯楽で留める。それ以上深めない。
 すべてを〈お金〉に換算する。しかしその使い方には良くない事に使っていたとしても皆寛容だ。
人の価値観を〈お金が有るか、無いか〉〈稼げるかどうか〉にする。執着させる。経済がどのように成り立っているのかの知恵は持たせない。深めさせない。
価値観が拮抗すれば権力志向の戦いになる。いま起こっている事は真にその戦い。
どの政党、どの人物に信憑性があるかを識り、深めて検証する事が大切なのに、全てが深みでなく浅瀬でいつまでもたむろし、もつれ合っている。
 権力というものは強い方になびくものだ。だとすると、更に問題を浅瀬へと向かわせる。
その抗争の間、いつも見放されているのは弱者と呼ばれる、見下されている人々だ。いつの時代でも社会を支えているにもかかわらず満たされない人々。
 「人間の知恵」という言葉が信じられますか?
知恵を持つことはしんどい事ですか?人間が持つ強い生命力の根底にあるどす黒い部分を克服するには「知恵」を持つことです。この現代、信じるに足るものがあるとすれば人間の知性や良心、そして生み出されたテクノロジー(科学技術)です。これさえ整えれば、〈良い欲〉とも成りましょう。
国民全体が直接選んだわけでは無い人々に振り回される、その事に警鐘を鳴らす責任が私たちにあります。全ての国民の意見が反映される「智」を広めましょう。





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