八重山毎日新聞社コラム

「やいま千思万想」No.306


【掲載:2026/05/14 (木曜日)】

やいま千思万想(第306回)

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  當間修一

【諦めないで、忘れないで、待つだけにならないで】

 人は抑圧を受け続けると「物事を諦める」ように成るそうです。抑圧に抗うのでは無く、服従するように成るそうです。可笑(おか)しな話です。抑圧者はその事をよく知っていてより強く抑圧する。これは歴史的に思い当たる事象を沢山見つけることができます。服従する者は一層抑圧される側になる。
特に我が国の人々は服従に慣れる性格を持っているようで、それは江戸時代(1603ー1867)264年間で身に着けたと分析する人が居ます。私も強くそう思います。 
 問題はそれに続いてその後、人はどうなっていくかですが、抵抗行動とはならず面白い思考へと向かいます。
価値観を変えます。取り去ってしまいます。抑制を取り除く行動の民ではなく、無抵抗の民となる。ただただ〈時が解決してくれる〉と待つだけの民。
これは我が国の、地震、台風、の多い地理的条件が大きく関わっているように思います。自然には勝てない故の〈知恵〉でしょうか。抵抗しても勝てない、叶わない!
しかしその知恵に問題が。抑制の中で反対、抵抗行動に移すことが出来ない人々が少しでも気持ちを落ち着かせようとして、新たな価値を作り出す。「抑制に刃向う行動を取れなくても気持ちが刃向かう思いを持ってさえいれば〈十分に前向きな姿勢〉。」と捉えて自身を納得させるのです。
つまり何もしないという解決方法を選んだのですね。
そうなれば続いて何が起こるのでしょう。それは強い者(抑圧者、権力者)に対して自分の利益を図るために、相手の気に入るようにふるまう。いわゆる、「取り入る」術(すべ)を持つ。しかしそれは従属関係がさらに強くなるということ。これ負の連鎖、「負のスパイラル」です。
我が国は今その状態が続いていると私は思うのですね。
黙っていては、そして待つだけではダメです
我が国、戦後80年何も無かったように、変わらずに来ました。ダメなものはダメと言わないとダメです。行動に移すのが苦手なら、口を開きましょう。苦しいのならば、困っているのなら、絶望を抱いたなら黙らず訴えましょう。
気がついた時、命が危ぶまれるという状態にだけはなりたくない。例えばあの戦争の時のように。
「諦める」のを止めましょう。それは「今」だけの為ではなく、やがて訪れる子供や未来の人の為にです。我が国の為にです。世界の為にです。
世の中、気付かされることが突然やって来ることがあります。それに備えられる状態にしておきたいです。
考える時間が必要です。聞いてくれる友人、アドバイスしてくれる人が居ればなお幸福です。好きなことを成し、美味しいものを食べ、酒などを飲み交わす。それが自然の中で営まれるならば、時折「怒る」自然の暴挙に対しても、謙虚にそして真摯に対応できる思いに至ることができましょう。
ただ「諦める」「忘れる」「待つ」でけでない人生。きっと悩み多いの人生になるに違いありません。しかしその悩みこそが人を、そして自身を納得させる人生であると私は信じます。





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