八重山毎日新聞社コラム
不安が苦手な方、ネガティブな思考が嫌いな方、恐怖症の方は読まないで下さい。
【掲載:2026/05/31 (木曜日)】
やいま千思万想(第307回)
「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者 當間修一
【今のこの時代「読んではいけない本」があるのですね・・・・・・】
その本を私は希望を持って手にしました。しかし読むとこれは大方(一般)の方々には進んでお奨めできない本でした。
この本、この社会は取りもどかすことができない、つまり「不可逆社会に突入している」との内容です。人類は破壊の崖っぷちに立っている。経済も行き詰まり今後も以前のように回復して行くことはないだろうと予測しているのです。現在三国(米国・中国・ロシア)の独裁的全体主義(ファシズム)になっているのは必然性があったのだとも説明しています。大国や他の国々でも「法」が無視され、それがそれぞれに大手を振ってまかり通っている状態です。その国々でも終焉は近づいている。しかし、誰も気が付かないのか、気が付いていても修正が出来ないほどにこの世界は終焉に飛び込んでしまう構造になっているのです。
原因が経済だけではないところに恐ろしさがあります。原油問題、農業政策、工業での供給問題等で現在起こっている状況だけを見て対策を考えても、根本的には何も変わらず破滅へと向かう。歴史的に憂いていた多くの学者たちの警鐘に耳を貸さず突き進んだ指導者たち。それを支持した多くの人々。
学者が示したものは、2030年頃には工業生産は限界に達して経済成長は止まってしまう。そして2040年頃には食料も急激に減少し、生活水準も急落して社会崩壊を引き起こす可能性がある、との予測です。
未来に夢、展望がないと思う若者が増えている。これから将来が良くなっていくと答えた日本の若者の割合は15%、英国や米国でも25%に過ぎない。これはゆゆしき事態です。「進歩は望めない」との閉塞感!
「世界の終わり」が加速度を増して近づいている。これを最も象徴するのが「気候変動」。それにともなう深刻な様々な危機。モノの欠乏。この気候変動は人間が起こしたもの。それが完全には制御できない状態に陥った。これからどのような気候に成っていくのか、不確実性の時代に突入したのだ。
どの国も、誰も、真剣にこれを回避する政策はとってはいない。「地球滅亡」への道です。
それに加えて信じられない恐怖の問題が今起こっている。経済の根本を揺るがす、いやこれまでの常識を覆すモノが現れたのです。
絶望的に成ってしまう要因、それがテクノロジー(著者はこれを「テクノ資本主義」と呼ぶ)。これに関しても著者は多くの事象を記しているのですが、身近に有る問題を一つ、それは「売り手と買い手の仲介者(いまでは富豪者)が現れたこと。ものを作らないで「場」を提供するだけの業者です。手数料を徴収して膨大な収益を得る。無料のサービスもある。しかし、それは膨大なデータを利用者自ら提供することで利益を与えている。
この著者は最後に書きます【人新世の「黙示録」斎藤幸平】。破滅を回避するには欲張らず「普通に生きる」こと。そして危機を理解して身近な所で「行動する」ことだと。
これは本当に「読んではいけない本」です。