八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.51


【掲載:2015/03/25(水)】

音楽旅歩き 第51回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

【島が賑わう時にこそ島文化を築き上げるべき】

 3月13日(金)石垣に到着。滞在は今月末の31日までを予定していますから2週間と少し。大阪から持ってきた仕事をこの地でゆっくり進めたいとの思いと、島の酒と料理、友人らとの語らいを楽しみにやってきました。
 午前中は仕事、そして午後からは新しいお店探索とこれまで行っていない観光施設を訪れ、その後一旦ホテルに戻って残りの仕事をし、夜には美味い酒と料理を介(かい)して交友を熱くする。
 これがほぼ毎日続くわけですから、何と濃い時間の過ごし方をしていることか。
でもそれが私の音楽の原点かもしれませんから幸せな時間を過ごさせて頂いているのだと思っています。
このコラムでも書いているように、八重山の文化は日本全体にとっても重要な価値を持つ地、そのど真ん中で体感したいとの思いが強く、この地がどのように変わり、また変わらないのかをしっかりと見続けたいと思っています。

 お昼や夜に訪れるお店、それらの魅力とは?それは行き着くところ、地場産業と繋がっている経営方針であり、運営にあるのではないかと思います。
本土の大都市ならいざ知らず、八重山でのお店の魅力は「八重山の魅力」そのものでないと長続きしないと思いますね。
八重山の物産には他にはない魅力が絶大なのですから、そのものを提供すべきだと考えます。

 以前にも増して島でのお店が激変していると聞きます。新装開店が目立ち、閉じた店もまた多くある。
この島は観光客の増加と合わせるかのように店の興亡も起こっている。浮き沈みの激しい時期にきているということでしょう。
私が行くお店には「素材は島のものを使っています」との表示が見られるようになりました。
これ、いいですね。ぜひ、作り手と販売に携わる者とががっちり手を組んで島の魅力を増し加え、また店の歴史も長くを築き上げていただきたいと願っています。
顔見知りの店が良いですね。人の顔が互いに見える店が良いですね。楽しみであり、心安まる、かつコミュニケーションのある居場所であって欲しいと心から願わずにはいられません。

 島に来て最初に感じたのは「人が多い」でした。一段と多くなりましたね。
観光客が目白押しですか。「わ」ナンバーの車が連なって走っています。
また今回は同時期に着岸した台湾からのクルーズ船「スーパースターアクエリアス」のツアー客にも遭遇しました。噂に違わず精力的に街を行き交っている姿は雄々しくもありますね。
人口が多いゆえの騒がしさ、いつも緊張を強いられる環境、そのような大都会のコピーを作らない!そこから離れて大自然に囲まれながら人間が人間らしく過ごせる場所となる、それがこの島の魅力です。
静かな街を感じています。店に入ってもBGMの選曲や音量が適切に選ばれているように感じました。(時折遭遇する大音量、奇声と喋り声の騒がしさは本土からの人たち、またその影響を受けてのことのようです) 今暫く、それを堪能しようと思っています。





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