八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.80


【掲載:2016/07/22(金)】

音楽旅歩き 第80回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

【音楽旅歩きの体験をいかしたコラムを】

 「音楽旅歩き」のコラム、これは音楽を通じて訪れた地での印象や感想を書きたいと思って始めたものです。
初めは八重山での印象を書くことで音楽の本質にも迫りたいと、幾つかのテーマに沿って書き始めました。
メインはやはり八重山の自然の魅力、その魅力を新たに感じることでしたね。そしてその自然に囲まれての音楽環境を綴った文章が続き、それに関連した幾つかの提案もさせていただきました。
その提案の根拠は私の体験に基づいていますが、それは多くの演奏家たち、ジャーナリスト、行政、一般の音楽愛好家の方々からの意見も入っていることは当然として、その地が持っている風土というものについて私が感じてのことが大きく影響しているのではないかと思います。
音楽は風土から生まれるのですね。その風土こそが尊重されなければなりませんし、活かされなくてはなりません。そうでなければ音楽は生きたものとならず、また魅力的ではなくなります。
ですから、その土地を訪れて体で感じるということが何よりも私にとっては大切なことなのですね。
このコラムを通じて八重山を知ったことは私にとってとても大きな事でした。
また滞在を通じて見聞きしたことで、今までに想像していたこととの相違や共通点なども発見できましたから、来島してから約20年間のこの月日が筆舌に尽くしがたい私の貴重な体験となっています。

 急変していく島。また頑と根を張って変化を拒んでいるようにも見える島。
発展していく中で起こる、変化と不変、改革と踏襲といったことが活き活きと絡み合っている島。
まだまだ人間としての豊かな生活をおくるために必要なことが沢山あると感じるのですが、それが実現できるかどうかは島の人たちの「何を求めているか」「何が豊かさなのか」という視点に依るでしょう。
 島を良くする、それは島の人々に依っていなくてはなりません。
外からはアドバイスはできます。
しかし、それを実現するためには島の人々がそれらを選択し、そして創造する。それしか道はないと思います。そのことの「当たり前」を再確認した月日でした。

 大阪に拠点を構える私です。大阪の文化に貢献することが私の生き方、仕事だと思っています。
その私がその仕事を充実させるために、大阪で培った「音楽」を近畿圏に、そして更に近畿圏を離れて日本各地へ、そして国外へと拡げる、それが一層「音楽」そのもののために必要なのだ、との姿勢で臨みます。
 「音楽旅歩き」のコラムはこれまでに日本各地で演奏してきた経験に基づいています。
またドイツ、オーストリア、チェコスロバキア、イタリア、スペインなど国外各地での演奏の体験も含まれています。
 私の旅はこうして今年も大阪を離れ、京都、名古屋、東京といったレギュラー地に加え、来年新しく富山での演奏、そして沖縄本島へと続きそうです。国外はイタリアへ再訪、また台湾への訪れも計画されています。
その体験が八重山の地に役立つことを願いつつコラムを綴ります。





戻る戻る ホームホーム 次へ次へ