八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.124


【掲載:2018/09/03(月)】

音楽旅歩き 第124回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

矢のように時は進む!だからこそ後悔のないトキメキを

 世の中、かつてなく目まぐるしく動いているようですね。
自然も何かしら問題があるようだし、国政・政界もうごうごとしているように見えます。
しかしながら不思議にそれらは大きな話題にも、問題にもならない。
国民性と言ってしまえばそれまでですが、このコラムで書いてきたように我々日本人は世界の中でも珍しい性格を持っているようです。
どの分野においてもです。全体的に「温和しい」、これが我々の特質です。
この特質がこの先どのような発展に繋がるか見たいようでもあり、また見たくないようでもある。
そんな風に感じる日々を忙しさの中で送っています。

 私の周りも凄まじい勢いで時は流れているようです。
先日も新しいCD作りのための録音をしました。ホールを一日借り切っての強行スケジュールです。
結果的には心配していた長時間録りにならず、早く録り終えたのが救いでしたが、疲れは数日経った今頃になって襲ってきています。
メンバーたちも表には出ない疲れが溜まっているものと思われます。
それと並行して続いているのが、9月に上演が決まっているオペラの練習。オペラってとにかく練習が沢山必要です。
演出打ち合わせ、動きを伴った舞台稽古、そして何よりも大事な音楽練習が次々と進められていきます。
ほぼ毎日、といっていいでしょう。体で覚え、そして表現する、それがオペラの醍醐味です。
ここだけの話ですが、もう途中で投げ出したくなってしまうほどの息詰まるような流れです。
舞台上での細々とした動き、作品を知ってもらうためのプロモーション、小道具制作や衣装デザインの試案と試着など、
総合芸術としての面目躍如たる作業が目白押しです。
ですが、それらを覚悟して突き進もうとする思いは次の一点ですね。
「後で後悔を残さない舞台」「貴重な時間とお金を費やして下さる観客にとっての感動の舞台」との意気込みです。
ですから、一瞬一瞬を疎(おろそ)かにすることなく、前を見据えて前進、その努力を惜しまず時を刻む!とにかく「ときめき」を求めて進む!です。

 最近世の中で評判になっている番組があります。
番組名は「チコちゃんに叱られる!」というのですが、その中で「大人になるとあっという間に一年が過ぎるのはなぜ?」という問題がありました。
答えは「人生にトキメキがなくなったから」だそうです。
この番組、回答者たちとのトークの面白さもあって楽しめます。
間違うとキャラクターであるチコちゃんから「ボーッと生きてんじゃねーよ!」と怒りを発せられるのですが、その姿がまた可愛くて。

閑話休題
「ときめき」が大事なんですって。「ときめき」とは発見、疑問、驚きだそうです。
それらを心に刻んでいく。人間は19歳を境にしてこの「ときめき」が失われていくとも言っていましたね。
周りがどんなにうごめいていようが、騒いでいようが「ときめき」をもって歩んでいく。
発見、疑問、驚き、そして感動なんですね!  





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