八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.129


【掲載:2018/12/23(日)】

音楽旅歩き 第129回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

「市歌」の編曲依頼は新たな都市図を夢見る

 今、私が住む大阪府豊中市の「市歌」を編曲しています。
その発表は来年の2月。豊中市からの依頼に初めは少し戸惑いましたが、担当者の「市歌」に対する情熱とその経緯に心を動かされたこともあってお引き受けすることにしました。
改めて思い出してみたのですが、そういえば「市歌」を歌った、あるいは聴いた記憶がありません。
その担当者から聞くところによれば、豊中市の誕生10周年を記念して作られたにもかかわらずその後歌われなくなってしまっているとか。
今回、戦後間もない昭和21年(1946年)に作曲された「市歌」を是非「72年ぶりによみがえらせたい」とのことでした。

 驚くことが続きます。「ならば残っている楽譜を見せて頂けませんか。
そして音源があればそれも一度送って下さい」とお願い。
しかし、それがきちんとして整理されたものが残されてはいないのです、との応え。
結局送って頂けたのは、手描き風のメロディーと歌詞のコピー一葉。
ただ、一番参考になる録音(器楽伴奏付きの混声版)が付いていました。
それを元に、今回は混声四部合唱と弦楽伴奏用に編曲して欲しいとの依頼です。
録音を聴いてみれば、立派な仕上げになっています。が、時代的な背景もあってか曲調の古めかしさを感じるのは否めません。
それを歌詞に込められた情熱の情景と、現代に「想像都市」豊中と銘打っている理想とをどう結び付けるか、それが課題となりました。
当然メロディーは変更できません。
変えることができるのはハーモニーと伴奏におけるリズムの刻みでしょうか。
24小節の短いメロディーにどれだけの精気を与えられるか、これは遣り甲斐のある編曲になるとの思いで取り組むことを決意しました。
今現在、混声四部合唱は出来上がっています。
そして弦楽伴奏もほぼ方向性が決まりました。後は浄書を残すのみとなっています。

 全国各地に「歌」があります。
公式の行事では最初に歌われることも多いのではないかと思います。
今回の件で一度「市歌」に当たる歌がどれほどあるか知りたくなりました。楽譜も見たくなりました。
周りのメンバーに呼びかけて集めてもらったものもありますし、各県や市のホームページを訪れてみればそれらの楽譜(ピアノ伴奏譜)を見ることもできます。
著名な作曲家や詩人の方々によって作られたそれらの曲は、全国で多くの県民や市民が行事のある毎に歌っていることでしょう。
「歌」は共同体にとって繋がりを確かめ、意気を揚げることに大きな役割を果たします。
編曲を通して、地域の在り方や、コミュニケーションに関して沢山のことを教えられたように思います。
豊中市民の方々が、今後も時にくちずさんで頂けるような編曲となったならば望外の喜びではあります。
石垣市にも「市歌」がありますね。
一度成人式に伺いましたがその折歌われていたように思うのですがどうでしょう?
少し記憶が曖昧になっているので不確かなのですが・・・・・・。 





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