八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.141


【掲載:2019/7/20(土)】

音楽旅歩き 第141回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

自分の足許だけでなく、時には宇宙に身を置く夢を見たいです

 「2019年参院選」たけなわにこのコラムを書いています。
これまでにも書いたり言ってきたりしていますが、棄権することなく投票しなければ、ですね。只の一票と思ってしまうかもしれないけれど、いえいえ、とても大切な一票を投じることこそ大切です。
この記事が掲載されている頃は当日か、その後になるかと思われますが、皆様の思いが通じた選挙結果となりますように・・・・・・。
私は選挙日当日は仕事で大阪を離れているため「期日前投票」としました。

 さて、今回のテーマはその選挙の話ではなく、私をワクワクさせ、感動をもたらした小惑星リュウグウ(竜宮)に着陸した「はやぶさ2」の話です。
凄い、と思いました!長い時間をかけ開発し、打ち上げに成功しました。
地球とそこに生きる人類の謎を解くために他の惑星に向けて旅立つ。
そして何とその惑星に着陸させることに成功し、惑星の物質を採取し、何と2020年(来年ですね)の冬には採取した試料とともに地球へ帰還する予定だというのです。
人類の知性とその行動力に拠ったこの計画は私たちを取り巻く諸世界の中にあって度胆を抜く「地球的・宇宙的」出来事となったのですね。

 覚えておられますか?14年前にとても話題となった小惑星「イトカワ」探査機「はやぶさ」を。
「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」に到達し接地。
その後再び離陸させ、2010年6月13日に地球へ帰還し、搭載カプセルをオーストラリアへ落下させ、その務めを終えたのでした。
「はやぶさ2」はその経験を活かしての探索計画だったのですね。

 考え込んでしまいます。この地球上で繁栄している人類も、遠い遠い未来ではありますがその頃には存在しなくなっているかもしれないと。
地球46億年の歴史と生命進化のストーリーを追っている専門学者たちがそう話します。
偶然という奇跡が重なって生まれたとされる地球とそこに発生した生物。
その末にこの今日(こんにち)、他の惑星まで到達する科学力をもった人類。
一方、その人類が日々生活する場においては「宇宙に目を遣る」こともなく、生きていくための問題と対峙し、時には傷つけ合い、戦い合う。
地球に住む人たちが向き合い、認め合い、協力し合い、それぞれの夢を追い(住む気象環境が異なるのですから夢も異なります)、
真剣に人類全体の繁栄・存続を求めてチームを組んで宇宙へ向かう計画を続行、
そして成功へと導いた叡知に対して心から感動を覚えます。
携わった関係者の方々の(それは想像を超えての多くの人数であるはずです!)写真などで見る笑顔にはっきりと現れている「誇り」。
それはとても眩しく、私たちの心の奥深く照らしてくれる力強い光でした。
今、地球上に生きる者たちが抱える問題。
けっして軽々しく語れることではないのですが、「いずれは終わるかもしれない人類」、地球から他の星へと移り住む夢を見ることもまた大切です。
私は足許ばかりではなく宇宙の一員として世界を見たいです。





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