八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.150


【掲載:2020/01/19(日)】

音楽旅歩き 第150回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

「オーディション」は共に新たな世界を作り上げていく行事

 この時期、二月のはじめ頃に行われる合唱団恒例の行事、「オーディション」。
演奏の核を成す「大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団」の団員選びと、独唱者選びです。
これを毎年更新するために内部と外部とから選ぶ。それが創団以来行っている〈テスト〉概要です。
一度合格して「室内合唱団員」になっても、毎年更新しなければならない。それが他にはない特徴かといえます。
独唱者として認定されればその立場は変わることはありません。団が存続する限り、演奏会では独唱曲を担います。 創団始めの頃には、他の団の指導者から羨(うらや)まれるシステムだったようで「本当に毎年実施してるの?」なんて何度も聞かれたものです。

 さて、その「オーディション」が二月一日(土)と二日(日)の二日間にわたって行われます。
今はそのための団員たちのレッスンが毎日のように続きます。このレッスンは大変なのと楽しみとが一挙に襲ってくる日々なんです。
本来ならば一年を通じて個人的に声楽のレッスンをしてあげれば良いのですが、私にその時間の余裕がなかなか持てず、ついその機会を無くしてしまっています。
ですからオーディションが近づいてくるこの時期に集中して行わなければならなくなる、というわけです。
オーディションの内容は、おおまかに言えば日本語と外国語の歌を一曲ずつ歌い、おまけに当日に初めて楽譜を見て歌わなければならない「初見視唱」も含まれます。
この「初見視唱」、ちょっと普通行われている一人で歌うものでなく、合唱曲の一部(パート)を歌って四声の〈アンサンブル〉としなければならないという課題。
これがどうもネックとなるようで皆緊張気味です。
しかし、終わってみればそれも楽しそうな顔になっていますから、上手にできた人も、上手くいかなかった人も、笑顔でステージから降りてきますからきっと良い経験となっているのでしょう。

 そもそも何のための「オーディション」か?
それは私が描く理想の団作り追究のため。
歌うことがマンネリ化することなく、それぞれが抱えている課題を毎年前進させていくきっかけとなる、そして新しいレパートリー作りも兼ねる、ということに集約できます。
まぁ、それほどに合唱とは奥深く、また難しい課題を多く含んでいるということにもなるのですが、それを参加者全員(受験する者、見学する者)が共有していく場、
それが「オーディション」なんだと私は思っています。
ほぼ、40年間続けてきた団恒例の初春行事。
これが終わらないと春はやってこないと団員は思っているようです。
外部からの受験もあります。
それは刺激あること。新しい〈血を入れる〉ということにもなります。
これまでにも多くの方の参加がありました。
団の演奏レベルを落とすことなく新鮮な気持ちで曲と接し、曲づくりをする大切な事だと信じています。
知った者同士であってもなくても〈人が混じって共に作り上げていく〉。
この事の大切さなんですね。  





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