八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.153


【掲載:2020/03/30(月)】

音楽旅歩き 第153回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

世界的に蔓延する「新型コロナウィルス」と闘う!

 「新型コロナウィルス」が世界で爆発的に猛威を振るっています。
日本は後追い的にその対策が進められていますが、まだまだウィルス自体の事も、またその対策、内容、実態が解らない状態が続いています。
情報が出る度に〈ため息〉も出る。それは危機感や不安だけではなく、〈見通しがつかない〉情報であることに依るモヤモヤ感です。
しっかりとした正しい情報と、その〈対策が取られている〉というメッセージが人々にとって大きな安心感を抱かせるのだと思うのですが、そうした〈手厚い〉と思わせる情報が欲しいですね。
〈危機感〉だけが一人歩きしているように思えます。
感染病の専門の方々の意見も政府が出すコメントの発し方も心に届きにくい感があって、〈意識の差〉による混乱、動揺が蔓延し始めているのではないかと思われます。

 全国でイベントや集会などが中止、延期となっています。
演奏会もそれに含まれるのですが、他国ではそれらに対する援助が確固としてあり、その援助の必要性も広く容認されているのが羨ましいです。
人が集まること、行われていることが大切にされているからこそ実現しているのだと思います。
我が国ではまだまだ〈個人負担〉が原則のようで、その世界で生きている者にとっては〈息苦しさ〉だけが残ります。
これまでにどれだけアーティストと主催者側に〈負担〉がかかっていることか?この国の文化政策のお粗末さが見えてしまう状況となりました。
思いますね。これらの切迫した時に必要なのは皆の〈協力〉です。
それは〈思いを同じ〉として、日本全体で行動を取るという〈協力〉です。
他に責任を取らせるだけでなく、自らも責任を取る、ということでなければ〈協力〉は叶いません。
相手はウィルスです。強敵です!人類が遙か昔から戦い続けている相手です。
それらに打ち勝って現在の我々がある。
今回のウィルスはまだ正体もつかめていないことが、更なる混乱を引き出しています。
一刻も早く治療法が見つかることを切に待ち望みたいですね。
身近に迫ってくるウィルスへの包囲網を世界的規模で作らねば、です。
〈協力〉を生む、それには「信頼」がキーワードです。信頼がなければ言えないし、聴けない。
信頼があるからこそ、言い、そして聴く。
その信頼作りがどうも上手くいっていない、それが我が国であるように思われてなりません。

 私自身、主催者として思い悩みます。
仲間が演奏会を中止する中、万全の体制を整え、そして多くの方々の熱い協力を得て演奏会を行いました。
多くの方々から応援メッセージが寄せられました。「この時だからこそ音楽が必要なのです」との言葉は胸を打ちます。
しかしこれからは状況を一層見極めての決断が必要だと思っています。
協力の中での中止。それは「やむを得ない」ではなく、「必要だ!」との確信で臨みたいと思っています。
〈信頼〉で結ばれていく、それが社会として一番必要なことではないかと信じます。
皆で「新型コロナウィルス」と闘う。〈信頼〉の勝利へと向かって!  





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