八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.159


【掲載:2020/07/19(日)】

音楽旅歩き 第159回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

一層混迷を深めることになるだろう「新型コロナウィルス」対策

 右往左往しているように見えるこの日本。
まだまだウイルスの情報が入り乱れ、収拾できそうでできなく、ただただ混乱を生じているように見えて仕方ありません。
これ、勿論「新型コロナウィルス」対策の話です。
自粛要請がありながらの県外移動の薦め。保証無き「耐える」「仕事に励む」「様々な風評に怯え」「一途の生活」を営む。
何という健気(けなげ)な国民なのでしょう。
その一員である私は、その中でも少数派であろう「文化活動」の道に生きることを選んだ者。
これまでも、どの時代にあってもこの世の中で最後まで漏(も)れてしまうような立ち位置です。

 ようやく、舞台表現者たちが目覚めて動き始め、様々に摸索して自分の生きる場所を確保しようとする姿が目に入ってきました。
私の団体は少し早く活動を始めたのですが、それでも動きの制限は強く、自由な動きは取れにくくなっています。
各所から示される矛盾しているとも取れる指針に惑わされながら、必死に「感染させず」「感染せず」を貫くための対策を講じて臨んでいます。
痛ましい話を沢山聞きます。想像もつかない様子が話されます。
聞けば「涙」と共に「怒り」にも似た感情が込み上げ、この元凶は一体何処にあるのだろうと頭が痛くなるほど考えます。
音楽を表現する人間の性(さが)かもしれません。

 歌うことのできるマスク(「OCMマスク」と呼んでいます)を製作、
演奏会を成功させるための自己管理としての「衛生管理」や、会場となるホールでの感染防止のための「環境作り」をあらゆる角度から検討して進めています。
毎日が情報探しです。一つの情報だけを見ても解決しませんね。
肯定するものと否定するものとを得なければなりません。
そのどちらを信じればよいかを自分で判断しなければならないのですね。
専門外故の必死な情報収集です。得れば得られるほどに以前より混迷が深まっていると思います。
そして我が国の現状では最後には「自己責任」となってしまう。「決定する」にも迷わざるを得ない状況ではあります。

 感染防止のためには二つの大切な事柄があります。
やはり、いわゆる三つの「密」である、【密閉・密集・密接】を避けることは必須として、そしてそこで必要なものとして「マスク」(感染させない・感染しないために)と、
最も大切な事である「換気」です。
感染防止のために一番良い場所、それは「野外」です。空気が動いている、つまり風がそよぐ「野っ原」に一人で居ることが一番安全だと思うのです。
その環境に近づけるように対策を練る。これに尽きるのではないでしょうか。

 『これからは新しい「世界モード」が生まれる可能性があります。
このコラムもそれらを追うスタンスとなるはずです。』と前号で書きました。
しかし、その時期はもう少し先になりそうです。いや、長くなりそうです。そうならないために人間の賢さが問われています。
過信せず、怯えすぎず、相手(ウイルス)をよく知り、強く挑む。頑張りましょう!





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