八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.172


【掲載:2021/03/21(日)】

音楽旅歩き 第172回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

ガジェットのお世話は大変です。道具に使われる私?

 これまでにも書いたように思うのですが、私の趣味といいますか、忙しくなってくるとせわしく頭が勢いづいてくるものがあります。
仕事からの一種の「逃げ」とも言えないことはないのですが、きっと脳の底では仕事、すなわち音楽すること、楽譜の読みなどと関連しているのかもしれません。
それは何かと言えば「モノを作り、動かすこと」です。
小さい頃から模型作りやオリジナルな創作に耽(ふけ)ることにはとても集中力を発揮していたようです。「モノ作り」は楽しいです!

 その志向が40歳を境にコンピュータの世界に入り込んでいく要因になりました。
スキーやダイビングもこの頃一挙に始めましたから何かが私の中で爆発したのかもしれません。
文章を書くため、必要に迫られてタイピングを覚えた「ワープロ(ワードプロセッサー)」。
そして、その頃世に広がり始めていた「コンピュータ」なるものに探索欲が膨らみその世界へと一気に進みます。
何でもモノの成り立ちが気になる性格ですから、コンピュータがどのように動いているのか?から始まります。
コンピュータを動かす〔プログラム言語〕にまで手を出してしまいました。
さすがにその後の指揮者としての忙しさにその道を全うしたいという愚(おろ)かしさはなくなりましたが、コンピュータとその周辺での世界、そこへの興味は未だ尽きません。
大袈裟に言えば、「人類の進歩」を体験してやる、という思いでしょうか。

 困ったものです。コンピュータの世界だけでも広くて、深くて、膨大な知識の積み上げを必要とすることなのに、
ガジェット(電子的なチョットした小道具や装置)というモノがそこに加わります。
その種類たるやもう追いつけないほどの数があり、それに関連したものとしてまた、ガジェットが作られるというその連鎖が凄いです。
そして猛スピードで走ってきます。追いかけ始めれば相当の決断を持たなければその連鎖に飲み込まれてしまいます。
勇気を出して「断つ」ことをすればどんなにか〔平安な毎日〕が訪れるか、もう、ちょっと笑ってしまう状態にまでどっぷりと浸かってしまった私です。

 スマートフォンに始まり腕時計、健康グッズにちょっと粋で美しく使い勝手の良い文房具。
音響装置に至っては凄まじいほどの性能比べが起こり、スピーカー、アンプ、マイクなど、その列挙された製品たちにはただただ溜め息が出るほどの値段が付けられています。
私の趣味の根っこは「興味・好奇心・探究心」で、そう悪いものでもないと思うのですが、道具に使われてはいけないですよね。
私が道具として使う、正確で早く、人間の補助として人間の不得手な分野(複雑な計算や同じ作業の繰り返しなど)を助け、
目指している目的を少しでも容易く、精緻で能率良く、早く達成してくれる補佐役ですよね(機械ですから道具ですね)。
「本末転倒」に気を付けねば、です。
私はコンピュータの前。その机の上、周りにはガジェットが一杯。その世話が大変です。





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