八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.173


【掲載:2021/04/18(日)】

音楽旅歩き 第173回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

>「寄る年波には勝てぬ」、今までの目の酷使の結果が顕著に顕れ始めています<

  「寄る年波には勝てぬ」というもので、最近目の衰えが気になり始めています。乱視と白内障です。
大学時代はずっと眼鏡をしていました。
ところが驚いたことに次第に視力が良くなり、いつの間にか眼鏡を外すようになって裸眼で過ごし始めました。
それ以来30代から60代は眼鏡無しの生活です。〈そんなこともあるんだ〉と喜んだものです。
ところが、オルガンを忙しく弾き始めた頃から少しづつ乱視が出始めます。
ピアノの楽譜なら普通は二段、ところがオルガンではペダルも加わって4段をとっさに観なければならなくなります。
その上、指揮も振り、10段以上、20段ぐらいの細かい譜面(スコア)を見始めてからじわじわと目の衰えが気になり始めました。
で、眼鏡をまたかけ始めることに。それが一昨年あたりからでしょうか。右目の酷使なのでしょうね。眼科に行きます。
右目には乱視がありましたが、緩い目薬を渡されただけでした。しかし、私自身がその後も気になってしかたがないので去年の暮れにもう一度違う眼科で検査。
それは東京の合唱団練習に行くついでで、紹介していただいた眼科。その後の進行を診てもらうことにしました。
「右目は年相応に白内障。でも手術しなければならないほどの段階ではまだありませんね」「左目は眼圧が高めだけれど目薬で様子を見ましょう。
そして眼鏡の再調整をしましょうか」との診断。そこで眼鏡を新調することになりました。少し間を置き今年の初めに診察。
再検査では左目の眼圧は正常になったのですが、どうも右目は自己判断でも白内障が進行しているよう。
先生曰く「右目、手術が視野に入ってきましたね」と。

 目は大切ですね!その当たり前の事を今回またもや再認識することになりました。
最近は指揮をしていても以前のようにはっきりと見えず、眼鏡をかけていてもなんだか霧がかかっているようになり、細かな音符が見えなくなってきています。
まぁ、ほとんど「暗譜」で振っていますから問題ないのですが。目が疲れやすくなり、それに伴って気分も良くなく、身体全体がモヤモヤしていてピシッとしません。
人間は不思議です。身体は衰えていきますが、心(精神)は元気に、そして充実していくものだと身を以て感じています。
苦しみや迷いや悲しみを感じなくなったわけではありませんが全てが見えてくるというか、ちょっと客観的に見て解決策を探したり、「理解」することができるようになりました。
自身に対する「不安」は無くなりつつあると実感しています。
人生は楽しい!楽しくなることができる!と確信するようになっています。「気の持ち方」次第、ということなのですが。
目が衰えていく、音楽家にとってとても恐ろしい!耳が聞こえなくなるというのは致命傷ともなりましょう。
しかし、それを受け入れる人間としての器作りをする、という道は必ずあると思うのですね。
人間って弱いものだと思いがちですが、いえいえ、人間はしたたかです。最近そんな気分を味わっています。





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