八重山日報コラム

「音楽旅歩き」No.238


【掲載:2024/08/11(日)】

音楽旅歩き 第238回

「大阪コレギウム・ムジクム」主宰 指揮者  当間修一

【自分自身の思い、意見を他人に利用させない突き詰めた姿勢を深く】

    X(旧Twitter)には様々な投稿があります。
一言で言えば、「良いもの」もあるし、「良くないもの」もあります。
そして「全くダメなもの(投稿失格的)」もあって百花繚乱(ひゃっかりょうらん)です。
私が注目する人が何人もいるのですが、ここでは粉川江里子(Kokawa Eriko )さんを紹介したいですね。
面識はありません。今まで作品を見たことがありません。噂も聞いてはいません。
ただ、投稿だけをみてのお薦めは少し乱暴かもしれませんが、ちょっと心に残る文章があったのを見て、気になる人(作品も)となりました。
ご本人が書かれているプロフィールの抜き書きです。少し長いですが掲載します。

 〔視覚障害者の絵描きです。視力は両目0.1位、矯正は全くできません(眼振、視野狭窄、中心暗点、色弱、斜視←両目手術済)視野も狭く、
両目とも内側の視野が一部欠けています。
色弱でもありますが、絵描きをしてます。武蔵野美大・油絵科卒業/ロービジョン/SLE/APS/コロワク未接種、新コロ未感染
 ◎視える世界と視えない世界の狭間〕。

 障碍を持った方、それも何かに専念し、心の世界と対峙して作品を生み出す作家はいつも真の言葉を持っていると思うのですね。
それに耳を傾けるのは私自身の言葉と共振を生み出す大切な必須体験だと今までの経験で思います。
「世界がこんなに荒れているのに日本だけ時間が止まっているような…。なんか変なんだよね。わたしの周りの人達は。
コロナ禍が始まった2020年以前と全く変わらない感覚の人が多い。
好きなことだけをして、好きなことだけ考えてる。世界で起きていることなんて知ろうとしない。
火に取り囲まれてるよ…」「大切なひと、大切な時間。目で記憶ができないから絵を描くことで、手を通して記憶しています。
大切な生命を想うことは、光の方だけをみることではない。
闇も直視して、そして何ができるのかを探り続けること、それはまた、絵を描くことと通じます。わたしはそう思います」
「大切なことは真実がどんなに受け入れがたくても向き合おうとすること。
そこからどうしたら良いかを真剣に考えること。どんなに苦しい状況でも諦めないこと」(句読点は當間)との投稿です。

 ご自身の投稿は少ないのですが、多分眼のことが要因かもしれません。
リツイートが多いですね。これはつまり人の意見を自分の意見「いいね!」で返信のようにして投稿することです。
ただ、投稿をしっかりと理解している人たちばかりではないです。
粉川さんの〝つぶやき〟を正反対に読み、利用しようとする人もいる。ご本人がまずそれに慎重でなければ、ですね。
リツイート内容は「真実を見ましょう」「一方だけ見るのではなくその正反対のものも見ましょう」
「嫌なものから目をそらさず向き合おう」「真剣に考えよう!」「諦めないで!」ということですよね。
人は誰もが呟きます。その〝つぶやき〟にどう対するかが問われます。
そう、ただ利用しない。させないということです。





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