以前、「指導要領を先へ延ばす」べきだ、と書きました。
今回は、それを実行させるのに伴う困難について書こうと思います。
指導要領を先へ延ばすためには、指導要領を一新することが必要となるでしょう。
何かの分野を削る、足す、というレベルの話でなく、指導される内容の再構成です。
たとえば、小学5年、6年で学ぶ「平均」「単位量あたり」「速さ」「比」「割合」といった内容をよく練り直せば、教えられる内容は圧縮され、コンパクトになると私は考えています。
また、物理の「力の合成」「力の分解」を理解しやすくするため、ベクトルの初歩(加法・減法・成分表示まで)は中学で教えられるべきだと私は考えています。
ところで、指導要領を先へ延ばすにしても、一新するだけにしても、私はある大きな困難を感じています。それは
です。自分が学んだ枠組み・自分が教え続けた枠組みとは違う枠組みで、物事を教えるのは難しいです。
言い換えれば、自分に教えてくれた先生・教科書・問題集・本などの影響を超えて、さらに先へ行くには、勉強が必要なのです。
そして、それがなくなったときが、社会の停滞の始まりです。
だから、既存の数学の指導要領を全く再編成したならば、教える側はかなりの時間を割いて勉強する必要が出てくるのです。
そして、当然のことですが、その「勉強する必要」は、教育現場に大変よい刺激を与えることになるでしょう。
ところが、残念なことに、その「勉強する必要」を今の教育現場に求めるのはかなり大変なのが現状です。
ここで、今後も私が繰り返し主張するであろう、次の一事を挙げます。
今の社会では、学校の先生は勉強しないといけない、という当たり前の事実に対して、認識が足りないのではないでしょうか?
この問題について論ずるには、まだ、私の力量が足りませんが、3つの側面から1点ずつ、挙げておこうと思います。
今後、これらの問題について、より深く考えて、書き記していこうと思います。
# 一部、文章を改訂しました(2010-06-09)