======================================================================
□■コレ・マガ■□
【大阪コレギウム・ムジクム メールマガジン】
(NO.1202 2025.9.5発行)
======================================================================
{COL1} <{EMAIL}> 様
このメールマガジンでは、大阪コレギウム・ムジクム(OCM)の活動状況、
演奏会、CD発売などの最新情報をお伝えいたします。
┏♪今週の目次♪━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
1.宮澤賢治の詩による無伴奏混声合唱三部作
2.演奏会情報
3.ホームページ更新情報
4.編集後記
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
★☆★☆★ 2025年度もクラウドファンディングにより ★☆★☆★
☆★☆★☆ 演奏会等の一層の充実のためのご支援を ☆★☆★☆
★☆★☆★ 引き続きお願いしております。ぜひ多くの皆様に ★☆★☆★
☆★☆★☆ ご賛同をいただけましたら幸いです。 ☆★☆★☆
★☆★☆★ https://www.collegium.or.jp/crowdfunding/ ★☆★☆★
───────────────────────────────────
1.宮澤賢治の詩による無伴奏混声合唱三部作
───────────────────────────────────
最愛の妹トシへの愛惜の情を綴った連作詩「永訣の朝」「松の針」「無声慟
哭」によって構成される無伴奏混声合唱三部作。賢治の生涯で最も深い苦悩と
祈りが交錯した時期の精神的な軌跡が、音楽として鮮やかに蘇ります。
1. 混声合唱のための宮澤賢治三章 「松の針」「妹は哭き」「林と思想」
妹は哭き
この詩は、トシの死から9年後の1931年に書かれました。執筆当時、賢治は自
身の病と周囲からの嘲りという二重の苦痛を抱えていました。
詩に描かれるトシの「哭き」は、彼女自身の病苦の悲鳴であると同時に、賢治
の内なる「修羅」―つまり深い苦悩―の表れでもあります。9年前の喪失の記
憶は、今なお癒えることのない悲しみと、自己の無力さの象徴として賢治の中
に生き続けています。
曲中の「哭き」を表現するヴォカリーズは、単なる泣き声ではなく、どこか不
気味でありながら、深い苦しみを感じさせる独特な音の響きとなっています。
しかし後半、「小松の梢を見き」という場面では、亡き妹の魂と結びつく松の
枝へと視線を向けることで、悲しみを克服しようとする意志が表現されます。
松の針
『永訣の朝』で雪を取りに行った賢治が、松の枝も一緒に持ち帰った情景から
始まります。病室の妹は、その松の枝に顔を近づけ「ああいい さつぱりした
/まるで林のながさ来たよだ」とつぶやきます。病室に閉じ込められた妹が、
自然との一体化を強く求めている瞬間が清涼感のある音階によって印象的に表
されています。
詩の後半では、賢治の赤裸々な感情が描かれます。「おまへがあんなにねつに
燃され/あせやいたみでもだえてゐるとき/わたくしは日のてるとこでたのし
くはたらいたり」という告白は、妹の苦しみに寄り添えなかった罪悪感の表れ
です。「わたくしにいつしよに行けとたのんでくれ」という願いは、死という
旅に一人で旅立とうとする妹と共に逝くことを願う、切ない叫びとなっていま
す。曲中では、緊迫したリズムとフォルテッシモの強い音量で、まさに叫んで
いるかのような悲壮感が際立ちます。
対照的に、直後のトシの美しさを謳う場面では、透き通るような和音が展開さ
れます。鳥やリスのように林を慕っていたトシの姿は、軽やかなヴォカリーズ
と共に何度も繰り返され、可憐に駆け回っていた彼女の姿を彷彿とさせます。
林と思想
唯一、トシが亡くなる前に書かれた詩です。
「霧にぬれてゐる」小さな林と、そこに「溶け込んでゐる」と表現される「わ
たしのかんがへ」が詩の核となっています。この「林」は風景でありながら、
同時に自己そのものでもあります。これは賢治の仏教的思想、特に「自他一
如」(自分と他者が本質的に一つである)という概念と深く結びついています。
「わたしのかんがへが...溶け込んでゐる」という表現は、意識が自然と精神
的に融合していく過程を描いています。曲中では、シンコペーションの掛け合
いによって、共振が巧みに表現されています。
この楽章を曲集の最後に配置することで、悲しみと葛藤の物語の終着点として、
トシの死によって失われた「原初の調和」の世界が提示されています。
2. 無伴奏混声合唱曲「無声慟哭」
三部作の中で最も賢治の内面的な苦悩を深く掘り下げた作品です。
賢治は自己を「青ぐらい修羅」として表現します。これは仏教での阿修羅のよ
うに、内的な葛藤や苦悶を抱える賢治自身の姿の比喩です。妹の臨終という悲
痛な現実を前に、日頃の信仰心もなす術もなく打ちのめされる、弱々しい姿が
赤裸々に告白されています。不安を誘うような和声の掛け合いが力強く展開さ
れ、この葛藤を鮮明に表現しています。
詩の核心は「ああ巨きな信のちからからことさらにはなれ」という一節にあり
ます。『永訣の朝』での崇高な信仰心とは対照的に、ここでは信仰によって得
られるはずの活力が失われ、現実の苦悩に直面する姿が露呈しています。
一方で、詩の後半では「あたらしく天にうまれてくれ」と、病に苦しんだトシ
が安らかな浄土や新たな生へと旅立つことを心から願う祈りが込められていま
す。主旋律と並行して展開されるソロの上昇音形のヴォカリーズは、天に昇っ
ていくトシの魂を表現しているかのようです。
3. 混声合唱のための「永訣の朝」
最愛の妹トシがこの世を去る朝の情景を克明に描写した作品です。
冒頭の「とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ」という語りかけから始
まり、「みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ」という対比的な表現で、
臨終の朝の不穏な雰囲気を、明るくもどこか不気味な和声と共に描き出してい
ます。
繰り返される妹の言葉「あめゆじゅとてちてけんじゃ」は、岩手県の方言をそ
のまま用いることで、臨終の場の生々しさを伝えています。「びちょびちょ」
という擬態語は、みぞれが降る音だけでなく、不安定な作者の心を表現してお
り、曲中でも内的な不協和音で表現されています。
曲は、賢治が松の枝に積もった「まっしろな二相系」の雪を取る場面から後半
を迎えます。ピアニッシモから始まる静謐な和音は、しんしんと降り積もるみ
ぞれを表し、悲しみの中にも心が洗われるような印象を与えます。
手に取った雪は「あんまりどこもまつしろなのだ」と表現され、妹の死が不吉
なものではなく、純粋で美しい魂の旅立ちへと変わっていきます。この雪は、
妹の清らかな心の象徴となるのです。
詩のクライマックスは、この雪を「おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすや
うに」と祈る部分です。この瞬間、賢治の悲嘆は個人的な喪失の苦しみを超え、
妹の魂の清らかさに触発されて、全人類の幸福を願う普遍的な祈りへと昇華さ
れます。賢治の祈りに合わせて、メロディも転調を繰り返しながら最高潮を迎
えます。
「わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ」とフォルテッシモで終える最
後の和音は、光に照らされながら御堂の中で祈りを捧げる賢治の姿を彷彿とさ
せます。
トシの死の瞬間に賢治が感じた生々しい葛藤や悲しみを、普遍的な祈りへと昇
華させていく過程を鮮明に描いたこの三部作。またとない機会を、ぜひ会場で
お聴きください。
───────────────────────────────────
2.演奏会情報 https://www.collegium.or.jp/html/ensoukai.html
───────────────────────────────────
■今週の新着情報■
・9月マンスリーの曲目を追加しました。
■今週の割引情報■
《11/15 創立50周年記念演奏会》…早割第2弾は9/14(日)まで!
《12/21 第132回大阪定期公演》…早割第2弾は9/28(日)まで!
↓早割チケットのお申込はこちらから。
http://www.collegium.or.jp/ticket/
《9/14 神戸公演 Vol.6》
前売好評発売中!
コレ・マガ割、65歳以上割、団体割、障がい者割引もございます
(OCM事務所のみでの取扱)。
↓コレ・マガ割等のお申し込みはこちらから。
https://www.collegium.or.jp/html/ticket_magazine.html
または office@collegium.or.jp まで。
♪♪ 団体割、65歳以上割、障がい者割引はOCM事務所のみでのお取扱です。
すべてのお問い合わせは大阪コレギウム・ムジクム事務所
( office@collegium.or.jp / 06-6926-4755 ) まで ♪♪
======================================================================
■9/14(日) 午後3時開演 会場:神戸朝日ホール
大阪コレギウム・ムジクム創立50周年記念
大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団神戸公演 Vol.6
======================================================================
https://www.collegium.or.jp/html/kobe06.html
【料 金】
一般/3,700(当日4,000) 学生/1,800(当日2,000)
高校生以下/800(当日1,000)
団体割(10名様〜):一般/2,500 学生/1,500
ライブ配信チケット/2,500(9/28までアーカイブ配信付)
【曲 目】
寺嶋陸也
混声合唱とピアノのための「野と空の歌」〔詩:宮澤賢治〕
千原英喜
宮澤賢治の詩による無伴奏混声合唱3部作
無伴奏混声合唱曲「無声慟哭」【OCM創立50周年記念委嘱・世界初演】
混声合唱のための宮沢賢治三章「松の針 妹は哭き 林と思想」
【OCM創立50周年記念委嘱・混声合唱版初演】
混声合唱のための「永訣の朝」
======================================================================
■9/24(水)午後7時開演 会場:日本福音ルーテル大阪教会
第502回マンスリー・コンサート 〜音楽の花束〜
======================================================================
https://www.collegium.or.jp/html/monthly.html
【料 金】
一般/2,000(当日2,200) 学生/1,000(当日1,200) 高校生以下/無料
ハーモニー会員/1,500 コンツェルト会員以上/無料
【お 話】當間修一
【曲 目】
J.C.バッハ
6つのヴァイオリン二重奏曲より 第2番 ト長調 〓NEW〓
ヴァイオリン:森田玲子・椎崎理琴
K.ミクリ
3つのヴァイオリンのためのスケルツィーノ ハ短調 Op. 25
ヴァイオリン:梅垣恭子・池内美紀・森田玲子
G.P.da パレストリーナ 〓NEW〓
Dum aurora finem daret(曙が夜を終わらせようとしていた時に)
H.シュッツ
シンフォニエ・サクレ 第2集 Symphoniae sacrae II Op.10 より
「心せよ、あなた方の心が鈍重にならぬよう」
Huetet euch, dass eure Herzen SWV 351
バス:落合勇己
「私達に御恵み深く平和を与えて下さい」
Verleih uns Frieden gnaediglich SWV 354
ソプラノ:横畑真季・福島瑞貴
ヴァイオリン:森田玲子・池内美紀
チェロ:大木愛一
チェンバロ:沖田明子
内藤法美
「誰もいない海」〔詩:山口洋子 編曲:鈴木憲夫〕
井上武士
「うみ」〔詞:林 柳波 編曲:當間修一〕
當間修一
「空と海」〔詩:金子みすゞ〕
木下牧子
「Peace be with you」〔詩:宮本益光〕
ほか
※プログラムは決まり次第随時お知らせいたします。
☆今後のマンスリー・コンサート 〜音楽の花束〜
<2025年>
第503回 10月22日(水)午後7時開演
第504回 11月26日(水)午後7時開演
第505回 12月28日(日)午後4時開演 〜クリスマス・スペシャル〜
<2026年>
第506回 1月28日(水)午後7時開演
第507回 2月25日(水)午後7時開演
第508回 3月22日(日)開演時刻未定
======================================================================
■11/15(土) 午後3時開演
会場:大阪高松カテドラル聖マリア大聖堂(カトリック玉造教会)
大阪コレギウム・ムジクム創立50周年記念特別演奏会
― 祈り、そして希望へ ―
======================================================================
https://www.collegium.or.jp/html/cathedral2025.html
【料 金】
一般/3,500(当日3,800) 学生/1,800(当日2,000)
高校生以下/800(当日1,000)
団体割(10名様〜):一般/2,500 学生/1,500
〔早割第2弾価格〕【9/14(日)まで!】
一般/2,800 学生/1,500 高校生以下/700
【曲 目】
A.ブルックナー
Ave Maria WAB 6
ミサ曲第2番 ホ短調 WAB 27
千原英喜
無伴奏混声合唱のための
ミサ“クアトロ・ラガッツィ”―旅の日の天正遣欧少年使節
======================================================================
■12/21(日) 午後3時開演 会場:住友生命いずみホール
大阪コレギウム・ムジクム創立50周年記念
第132回大阪定期公演《J.S.バッハ/ロ短調ミサ》
◇(公財)三菱UFJ信託芸術文化財団助成公演
======================================================================
https://www.collegium.or.jp/html/osaka132nd.html
【料 金】
S/5,000 A/4,000 B/2,500
学生/1,800(当日2,000) 高校生以下/800(当日1,000)
団体割(10名様〜):S/4,000 A/3,000 B/2,000 学生/1,500
ライブ配信チケット/2,500(アーカイブ配信付) ※後日発売開始
〔早割第2弾価格〕【9/28(日)まで!】
S/4,000 A/3,000 B/2,000 学生/1,500 高校生以下/700
【曲 目】
J.S.バッハ/ミサ曲 ロ短調 BWV 232
───────────────────────────────────
3.ホームページ更新情報
───────────────────────────────────
大阪コレギウム・ムジクムのホームページ https://www.collegium.or.jp ほか
の最新更新情報をお知らせします。
●當間修一のSpotifyチャンネル更新!
音楽と歴史、その関係と本質を紐解きます!
第5回配信「りんどう」練習2025-08-31
第6回配信Heinrich Schuetz Chor2025-08-31
https://open.spotify.com/show/717PDSCj3Z4Olnni1rNQQR
───────────────────────────────────
4.編集後記
───────────────────────────────────
某国の首脳たちのオフレコの雑談を、切り忘れたマイクが偶然拾ってしまって
それによると「今世紀中に人類は150歳まで生きることができるようになる」
と語っていたとか。本当に切り忘れたのか故意に流したのか??と思ってしま
いますが、明け方からそんなニュース速報がスマホに入ってくるのも何かおか
しくて、世界は某国々の得体の知れなさに戦々恐々としているんだなあとしみ
じみ思いました。お互い恐怖を克服して信じあえる世界に早くなればいいのに。
(中橋)
───────────────────────────────────
↓↓↓コレ・マガ割チケットのお申し込み ●コレ・マガ購読特典●
https://www.collegium.or.jp/html/ticket_magazine.html
↓↓↓過去の演奏CD-R一覧、及びお申し込み ●コレ・マガ購読特典●
https://www.collegium.or.jp/html/cdrwww.html
↓↓↓大阪コレギウム・ムジクムCD・DVDの詳しい情報はこちらへ
https://www.collegium.or.jp/OcmMerchant/
↓↓↓大阪コレギウム・ムジクム限定グッズのお求めはこちら
https://www.collegium.or.jp/goods/
======================================================================
□■コレ・マガ■□【大阪コレギウム・ムジクム メールマガジン】
(購読無料・毎週金曜日発行)
【編集・発行】
一般社団法人 大阪コレギウム・ムジクム
https://www.collegium.or.jp
〒540-0021 大阪市中央区大手通1-1-13 GIパールビル2F
TEL 06-6926-4755 / FAX 06-6926-4756
【メールマガジンの登録解除はこちら】
{DELURL}
【ご意見・ご感想】
Mag-Editors@collegium.or.jp
======================================================================